夏目友人帳

□逢瀬
1ページ/4ページ


 それは何気ない、けれど運命的な出会い。


「やーい、嘘つき夏目だー。近寄ると嘘つきがうつるぞー。」

 公園に響く子供たちの声。普段ならば微笑ましいはずのそれは、けれど決して笑うことのできるものではなかった。

「嘘なんてついてない!ほんとにそこに…………。」

「うるさいなぁ!いい加減にしろよ!どこにもおばけなんていないじゃないか!」

 そういって子供たちは、反抗した一人の子供に対して石を投げつけ始めた。

「おや?大勢で一人の子供を囲って何をしているのですか?」

 そこに、眼帯・長髪・番傘という、なんとも怪しい少年が現れた。子供たちより数歳年上のように思われる彼は、浮き世離れしたような、それほどに整った顔をしていた。
 子供たちは石を持つ手も下ろして、その少年の顔に見とれていた。

「どうしたのですか?早く答えてください。」

 少年が急かすと

「え、あ、なんでもない!みんなもう帰ろうぜ!」

 そう言って子供たちは帰って行った。


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ