夏目友人帳
□逢瀬
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それは何気ない、けれど運命的な出会い。
「やーい、嘘つき夏目だー。近寄ると嘘つきがうつるぞー。」
公園に響く子供たちの声。普段ならば微笑ましいはずのそれは、けれど決して笑うことのできるものではなかった。
「嘘なんてついてない!ほんとにそこに…………。」
「うるさいなぁ!いい加減にしろよ!どこにもおばけなんていないじゃないか!」
そういって子供たちは、反抗した一人の子供に対して石を投げつけ始めた。
「おや?大勢で一人の子供を囲って何をしているのですか?」
そこに、眼帯・長髪・番傘という、なんとも怪しい少年が現れた。子供たちより数歳年上のように思われる彼は、浮き世離れしたような、それほどに整った顔をしていた。
子供たちは石を持つ手も下ろして、その少年の顔に見とれていた。
「どうしたのですか?早く答えてください。」
少年が急かすと
「え、あ、なんでもない!みんなもう帰ろうぜ!」
そう言って子供たちは帰って行った。