NOVEL

□聖なる夜に愛を紡ぐ 〜小野瀬version〜
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今日はクリスマス・イブ、恋人同士で過ごす、聖なる夜。


照明を落とした高層タワーホテルの一室に二人きりだ。




さっきの、ハイヒールを履いてみせてくれるかな?


ああ、待って。
やっぱり俺が履かせてあげる。


うん、素敵だ。思った通り、とてもよく似合うよ。

なめらかな素足に吸い付くようだ。


・・・俺のプレゼントした靴なのに、
なんだかジェラシーを感じてしまうな。



君は『赤い靴』の童話を知っている?

赤い靴を履いた少女が脚を切るまで踊り続けるお話なんだけれど、
このハイヒールにもクリスマスの魔法がかかっているからね。



もう君は俺の言葉に逆らえない。





・・・ハイヒールを履いたまま、ゆっくり服を脱いで、生まれたままの姿を俺に見せて。


カーテンの陰に隠れたりしちゃダメ。
ほら、そこから出ておいで。


なぁに?

恥ずかしがらずに、俺の胸に飛び込んで来ていいんだよ。



欲しいと望んだのは君だ。






そう・・・、いい子だね。







のぼせたようにうるんだ君の瞳が、ヒールの分だけいつもより数センチ近くにある。


ぴんくいろに染まった唇に、キスをひとつ。

胸を隠している手をどけて、まだ柔らかな先端を指先で摘まむと、

触れられるのを待っていたかのような、ちいさな嬌声が上がった。



ベッドに行きたいという君の願いは却下して。

窓に手を突かせて、背後から君とひとつに溶け合う。


ハイヒールのせいで不安定に揺れる腰が、尚更俺を夢中にさせる。





窓から臨むのは、ネオンの洪水。


こうしてると、さっきまで仰ぎ見ていたプラネタリウムの星々を、眼下に見下ろしているようだね。


君も見たがってたでしょ。気に入ってくれてるかな?




大丈夫、君の姿は誰からも見えたりしないよ。

でも、俺は、できることなら世界中に知らしめてやりたい。



こんなに可愛い君が俺の恋人なんだということを。








───覚悟して。


ハイヒールを履いた君は、俺の腕の中で俺の為だけに踊りつづけるんだ。




次のクリスマスも、その先の先のクリスマスが過ぎても・・・、


永遠に、ね。







Endless End






ヤンデレな小野瀬さんの『大人クリスマス』を貴女に。




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