NOVEL

□彼女が彼シャツに着替えたら 〜明智誠臣の苦悩〜 (過去拍手文No12)
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彼女が彼シャツに着替えたら 〜明智誠臣の苦悩〜




休日の後、翼から新しいシャツをプレゼントされた。


『あのシャツ、アイロンで焦がしちゃったんです』


わざわざ買わなくてもよかったのに、『すみません』と、泣きそうな顔で謝る翼の優しい気持ちを無駄にしないよう、新しいシャツを受け取った。

ただ・・・、折角翼が着てくれたシャツが昇天したのは残念だった。



ああ、いや、それは、まあいいんだが。


・・・実は、あの日から、翼の態度がおかしい。

俺と目が合うと、さりげなく視線を逸らされることがある。


正確に言うと、外回りで汗をかいたり、力仕事で邪魔になったりで、上着を脱いだ時だ。


もしかして、シャツのことを気にしているのか?

当然、焦がしたことを責めてはいない。

となると、やはりあのシャツを着せて、少々強引にコトに及んでしまったこと自体が、
トラウマになったのだろうか?

気づかないうちに、ボタンがとれていたくらいだ。
どう考えても非は自分にある。

まさかと思いたいのだが、理由は聞きだせないままだ。




もうすぐ昼休みという時間に、外回りから捜査室に戻る。

タイミングよく、室長しか在室していなかった。

俺は、友達の悩みとして、室長にそれとなく相談してみることにした。


「自分のシャツを着せるのは、男は燃えても、女性は引くものなんでしょうか?」


バサバサバサッッ!!

室長が、手に持っていた資料を取り落す。



「・・・そりゃあ、相手によるだろう」

床にばら撒かれた紙を一緒に拾い集めながら、話は続く。

「相手・・・ですか」

「おま、・・・いや、そいつ、ヤってる最中に、鼻血吹いたりスケベ笑いでもしてたんじゃないのか?」

「そ、そんなはずはありません!・・・あ、いや、無い、と言っていました」

「恋人同士なんだろ。愛情や信頼関係に問題が無いなら、照れてるだけかもしれないぞ」

「・・・だといいんですが」

「ま、俺は着せたいと思ったら、ベビードールだろうがガーターベルトだろうが、有無を言わせず着せちゃうけどな!!」

室長は豪快に笑い飛ばすと、まとめた書類を小笠原の机に置いた。



どうやら・・・相談相手を誤ったようだ。


俺の知っている限り、恋人に拒否されずそんなPLAYを実践できるのは、室長と小野瀬さんくらいだ。

普通の男がそこまでやったら、いくら愛情や信頼関係に問題が無くても、下手するとDVだと訴えられかねない。



ちなみに、鼻血は出なかった。

スケベ笑いなんかしていたのか?俺・・・。




室長や小野瀬さんのような大人の恋愛は、いくつになってもできそうにないな。


そろそろうるさい連中が帰って来る。

俺はため息と共に、席についた。



如月
ヒソヒソ『引かれたんだ・・・気の毒に』

藤守
ヒソヒソ『引かれてしもうたんや。イロイロ難しいからな』

小笠原
ヒソヒソ『引かれるようなことしなければいいのに・・・くだらない』

小野瀬
「君たち、捜査室の入口で何やってるの」


「ひかれたって、交通事故ですか?!」




FIN
.



「あれ以来、つい、明智さんのシャツ姿に見とれちゃう(汗)今は仕事中、仕事中」ぎゅぎゅ(拳)

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