正義ノ味方

□悪を倒せば必ず正義であるか?
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招待状の裏の地図を見る。 少し先の建物で開催されるようだ。


「少し高い所に上って様子を見るか」


近くのビルに上る。 屋上を跳んで移動する。 人間とは不思議なもので、たった1mくらいの隙間でも地上20mともなると途端に足がすくんでしまう。 前に言ったように恐怖は感じなくなってきているため、関係なかったが。



建物の前には、囚人が騒ぎながら集結していた。 中には銃を持っているものもいるようだった。 正面からの突入は危険すぎた。


「裏に回って侵入するか」


屋上の縁を蹴って闇の中を跳んでいく。 途中屋上で騒いでいるチンピラに見つかり、こっちに向かってきたが無視して走り抜けた。 今は殴り倒している暇はない。 幸運にも彼らの中には、恐怖が未だに存在していたようだった。




「さて…」


会場になっている廃墟の洋館のような場所の裏に回る。 いくつか存在したドアは全て施錠されていて、入ることができなかった。
仕方なく窓を割ってはいることにした。 中では大騒ぎになっていて、廊下でガラスが一枚割れた音に気がつくものなどいなかった。 二階に上がり大ホールを見下ろせるように円形になっている廊下まで来ると、数十人の囚人がヤジを飛ばしながら、前のステージで磔にされた女性に注目していた。 主催者らしき男がステージ奥から出て来た。右手には拳銃。


「さあ始めよう!先ずはどこから撃ち抜く?」


男の声に盛り上がる招待客。 女の悲鳴。 パーティの開催を告げる下劣な鐘の代わりだった。 しかし、カイはその悲鳴に違和感を覚えた。




どうも女は本気で怖がっているようには思えなかったから。
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