小説
□再会
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やっぱりもう無理だ。
こんな真夜中にたかみなに電話をするのは
いつ以来だろう。
電話帳からその人の名前を探す。
「たかみな」
通話ボタンを押した。
プルルルルル…
「……もしもし」
「………」
「…あっちゃん?……あっちゃんなの?
どうした…?大丈夫?」
たかみなは少し驚いてるみたいだったけど、
私を心配するその声は、あの頃と少しも変わらなかった。
「たかみな、会えるかな?」
「えっ?」
「たかみなと会って話したいことがあるの。今からでも、いいかな?」
「え?今から?今からはちょっと…」
そのときだった。
「あれ?みなみ?どこ行った?」
電話の向こうから男の声がした。
「あ、あっちゃんごめん、そうだ、明日なら良いよ。明日久しぶりに家においで?」
「わかった。」
「せっかくかけてくれたのにごめん、じゃあ」
電話は切れてしまった。
自分の好きな人が、誰か別の人と夜を過ごしているのを
知ってしまったら、普通は余計に眠れなくなってしまう。
でも、久しぶりにたかみなの声を聞いた私の心は不思議に落ち着いていて、
気が付くと、私はいつのまにか眠りに落ちていた。
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