小説

□いつもの朝
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「あーおいしかった!ごちそうさま!」

朝の時間は本当にあっという間で、
食べ終わるとあっちゃんはバタバタと支度を始めた。


「あれ?みなみ、トイレの電球切れてる。」

「うん。今朝切れちゃったみたいで、
 あっちゃんが帰ってくるまでに替えとくね。」

「みなみは、危ないからだめ。俺が替えて行くよ。」

「でももう時間…」

「大丈夫。それに、みなみが今日1日不便な思いしなきゃいけないだろ?電球どこだったけなー?」

優しいなぁ…
イスに登って手際よく電球を替える彼を見つめながら
私はそんなことをぼーっと考えていた。

「じゃっ!みなみ!行ってくるよ!」

はっ!彼はもう玄関で靴を履いていた。

「あっ!あっちゃん!あっちゃん!ケータイ忘れてるよ!」

「あっ、ありがとう。………でも、みなみも忘れてるよ?」

「いや、忘れてるわけじゃないけど…」

彼の手が私の後頭部に伸びたかと思うと、
唇に柔らかいものが重なった。

「じゃあ、行ってくるよ。」

「…行ってらっしゃい。」

「…みなみ、顔紅い。」

どこか挑発的な言い方といたずらっぽい笑顔を残して
あっちゃんは今日も仕事に出かけていった。

あっちゃんとの結婚生活をはじめてそろそろ1年。
でも、行ってきますのキスはまだ恥ずかしくて。

おわり。
..
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