小説

□プレゼント
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4月8日。

たかみなは、みんなからたくさんのプレゼントをもらっていた。


「たかみな〜これなかなか売ってないんだよ〜」

にゃんにゃんからはリラックマそっくりなのにすごい不細工な顔のぬいぐるみ。


「ほら、ちゃんと祈願しといたから!」

優子からは絶対たかみなには合わないサイズのブラとパンツのセット。


「これどうぞ!!」

ゆきりんからはどこかで見たような黒い豚のぬいぐるみ。ああ、TBSのキャラか。


「たかみなさん〜このエッジやびゃぁーと思いませんか??」

まゆゆからは私にはよく分からないキャラのフィギュア。


「たかみな、頼むからもうちょっと小物にも気遣って」

麻里子からはおしゃれなバッグ。


「たかみなさん!指原これちょー好きなんですよ!」

指原からは…地元大分の特産品?


みんなからの変なプレゼントに囲まれながら、
それでもたかみなはすごく嬉しそうだった。


みんな渡し終わったみたい。


最初は、たかみなと2人きりの場所で渡すことも考えたけど、
それだと重くなりすぎるし、私も少し自信がなかった。

だから、あえてみんながいる楽屋で渡すことに決めた。


たかみなの周りからみんながパラパラと離れ出したのを見て、
私はたかみなのもとへ寄っていった。


「たかみな。プレゼントあげる。」


「おっ!あっちゃんありがとうー。いやーこの人たちが変なプレゼントばっかりくれるからさ、本命の敦子に期待してたんだよー。」


本命?よく言うよ。そんな言葉を気安く使わないでほしい。


「開けてもいい?」

「いいよ。」

「えーなんだろ?でもなんかかなり高級そうなんだけど…」


袋から出して箱を開けていくたかみな。黒い四角いケースが出てきた。

ドキドキする。


「開けるよ?」

「うん。」


それを見た途端、たかみなの目が真ん丸になった。


「え…指輪!?」

「うん。」

「指輪!!?」


たかみなの声が大きいから、さっき離れていったみんながまた集まってきた。


「えっ?あっちゃん指輪贈ったの?すごーい…」

「なんかのドッキリじゃないの?」

「これってもしかして本当のダイヤですか?」

「前田さんすごいですー。」

「えー指原もこんなの欲しいんですけど!」


みんなの反応なんてどうでも良い。
早くたかみなの感想が聞きたかった。


そのたかみなは指輪を見つめたまま硬直している。


「ちょっとたかみな?固まってないでなんか言いなよ?」

麻里子が言う。


「いや、こんな高いものあたしがもらってもいいのかなって…」

は?それだけ?
私指輪贈ったんだよ?
もうちょっとなんかあるでしょ?


優子「たかみなーもらっとけって!」

にゃん「あたしも欲しい〜優子買ってよ〜」

優子「それだけはごめん!」

にゃん「え〜なんで〜じゃあ麻里ちゃん買ってよ〜」

麻里子「いいよ!その代わり今夜にゃろの家にお泊りね。」

にゃん「それはだめーー!」



「高橋さーん、ちょっとお願いします。」

スタッフがたかみなを呼んだ。

「あっ!はい!」

たかみなは仕事モードに戻って、
何も言わないまま、指輪を持って行ってしまった。


私はすごくいたたまれない気持ちになった。


たかみなが行くと周りの人だかりも急に消えていった。

まるで何にも無かったかのようだ。


私の横に、ひとつだけ残っている人影があった。

麻里子だった。


「麻里子…」


麻里子は私をのぞき込むようにして言った。

「たかみなはさぁ、あんな高い指輪をプレゼントしたって、
敦子の気持ちには気づいてくれないんじゃないかな?」

えっ?

麻里子の顔を見上げた。

そうか、麻里子は私のたかみなへの気持ちに気づいてたんだ。

「敦子さえ良かったら、あたしを使ってくれてもいいんだよ。
ほら、恋のキューピッドってやつ?」

そう言っておどけた表情をする麻里子。思わずくすっと笑ってしまった。


「…ありがとう。でも、いい。」


「そっか。敦子は自分で言いたいんだよね。
分かった。応援するから。」


そう言ってあたしの頭をなでてくれた。


麻里子がそう言ってくれて、すごく心強かった。


絶対気づかせてやるんだから。

いつか絶対たかみなに好きって言ってもらうんだから。

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