小説

□プレゼント
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うーん…

さっきからもう30分近く迷っていた。

それは…たかみなへの誕生日プレゼントの指輪。

女の子同士のプレゼントでアクセサリーにするなら、普通はネックレスとかピアスとか。

指輪なんて送ったらどう考えても変に思われる。


でも、私はそれが目的だった。


たかみなに私の気持ちに気づいてほしい。
いくら鈍感なたかみなでも、指輪をもらえば何か感じるに違いない。

サイズはもう調べてあった。


昨日、指を入れてサイズを計る紙を楽屋で使ってたら、たかみなの方から声をかけてきた。


「あれっ!どうしたのあっちゃん。指輪でも買うの?」


「うーん、そうだよ」


「えー!?あ、もしかして誰かに贈るとか!?」


「うーん?」


「おいおいー誰に贈るんだよーこのこのー」


たかみなが肘をごっつんこしてくる。

あんたに贈るんだってば。全然気づいてないみたいだ。


「ところで、たかみなはサイズいくつ?」


「え?あたし?指輪とかあんま持ってないからなー」


そう言って、さっきの紙に指を通し始めた。作戦成功。

たかみなはこう見えて華奢だからたぶん8ぐらいかな。


「うーん、あたし7かな」

「えー細いんだね!…男にしては。」

「おい、やめろって!」


そんなたかみなへの指輪。

ファッションリングじゃなくて、ちゃんとした指輪が欲しかった。

私は、横一列に小さなダイヤが並んだ上品なのが気に入ったけど、
たぶんたかみなは、リングのクロス部分に斜めにダイヤが付いたかわいい方が好きだろう。

やっぱりたかみなが喜んでくれる方がいい。

「これ、お願いします。」


店を出た。4月と言ってもまだ少し寒い。

たかみな喜んでくれるかな…

ちょっとだけ心配だったけど、それより今は、たかみなへのプレゼントを買えた満足感でいっぱいだった。

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