SHORT

□キミはキミ
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皆と同じホテルの一室に閉じこもった俺は、ベッドの上に仰向けで寝そべっていた。

あの場から逃げだした俺は、またいろいろと考えたがやっぱりマイナス思考になってしまい、考えることを止めた。


「俺はこれからどうすればいいんだよ…」


ベッドの上でそう呟いた矢先、コンコンと部屋をノックする音が聞こえた。

突然の事で驚き、返事をしようかしまいか迷っていると相手から声をかけられた。


「……ルーク、俺だ。…入るぞ」

この声はガイだ…。
ガチャっと部屋の扉が開くと、俺はすぐに毛布に潜り込んだ。
どんな顔して会えばいいか分からない。

少しの沈黙が続くと、ガイが先に口を開いた。


「…ルーク──」


「俺、レプリカなんだぜ?」


ガイの言葉を遮り、俺は一方的に話し始めた。

何も言われくない。
何も話されたくない。
俺は偽物なんだ。


「…ガイが“本物のルーク”だと思ってたのは俺じゃない、アイツだ…。アイツが…、アイツが本物のルークなんだ…。俺は違う、偽物だ…、レプリカなんだよ…!俺は────…」


レプリカだ。

俺の言葉は続かず、気付くと毛布を捲られ、ガイに抱き締められていた。


「泣くな、ルーク…」


ガイの言葉にはっとして頬に手をやると、俺の頬は微かに濡れていた。


「お前はレプリカなんかじゃないだろ。お前が本物のルークだ」


「違う…!ガイだって見ただろ、アイツの顔…。俺と同じだった…。俺はアイツのレプリカなんだよ!」


「俺はお前をレプリカだとは思わない。ルークはルークだ。本物も偽物も無いだろ?俺はお前を愛してるんだ」


「……馬鹿ガイ」


ガイは俺の事を本物として見てくれている。
ガイが口にした言葉は、俺が一番欲しかった言葉だ。


「…ありがとな」


俺はそう呟くと、ガイの腕の中で眠りについた。


-終-



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