CursedBride
□優姫
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学園を包み込むような、屋上から漂う優姫の血の匂い。
それは、極上の人間からかけ離れた芳醇な香りだった。
血の匂いは学園中に行き届き、夜の一族である存在を知らしめていた。
そして、彼のもとにも届いていて。
ヴァンパイアを最も憎むハンターが屋上から二人を見下ろしていた。
「…よく知った優姫の…血の匂いがした…。
それと……」
「…ぜ…ろ…」
零の双眸は今までにないほど憎悪に満ちていた。
ずっと人間だった幼馴染が、人を否定する気配を纏わせているのだから。
「ヴァンパイアの気配が"二つ"…!!
玖蘭!!
お前は優姫を…」
「やめて零!!」
優姫は軌道を遮った。
枢を庇い、手を広げてまっすぐな瞳を向けている。
「この人は私の、私のっ……お兄さまなの……」
申し訳無さそうな顔をして、優姫は驚愕の事実を告げた。