飴乃寂
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「お前にはファミリーの構成、ボスの正体。洗いざらい吐いてもらう」
そう言ったのは、緑色の学ランを着た男だった。
「狙いは十代目か!!」
相手との距離をとりながら、ターゲットを追っていた時の記憶を洗う。
しかし、目の前の男は見覚えがない。
そして十代目の情報が知られていないということは。
「…………あいつはシロってことか?」
もしやボンゴレに敵対する組織から送られてきた、スパイかと思っていたのに。
いや待て。まだ決めつけるのは早い。
「…………ペニーに乗った女」
「、」
反応あり。
「知ってるんだな?」
「だったらなんだ」
「最近よく黒曜生と出歩いてるからな。あいつとはどういう関係だ?」
「………なるほど。尾行していたのはお前だったか」
「!」
眼鏡をかけ直す。
やはりバレてた。
「始めは護衛かと思ったが、正体がバレそうになると姿を隠した。つまりお前は護衛とは真逆の……監視をしていたということか」
「…………だったら彼女は、ボンゴレとは無関係……」
「!」
ああそうか。第三者から見れば、そういうことになるのか。
しかし相手は無関係ならいいかと思ったらしく、淡々と話し始めた。
「やつとは、町で会った。声をかけられたから」
「声をかけられた?」
ん?
「それで店で話して、………意気投合したやつとは、その後もよく会っていたらしいが……俺はよく知らない」
「………」
つまり?
「…………おい。お前の仲間に、線が細くて女受けしそうな顔の男はいないか?」
「…………いる」
「声をかけられたのは、そいつか?」
「ああ」
「…………意気投合したのも?」
「そいつだ」
なるほど、顛末はこうだ。
いい顔発見!
↓
お茶をして意気投合
↓
しかし途中で、相手がヤバいやつだったと判明
↓
ヒバリ「君の知り合いなら、案内しなよ。ついでに君も咬み殺す」
↓
やっべバレる前に逃げろ
↓
今に至る(不登校)
「事の発端はナンパかよ!!!!」
何度でも言ってやる。
ブレないやつだな!!
「っだああああいつもの思わせぶりかあの女!!!」
万が一の可能性も考慮して、尻尾を現したかと意気込んでいたのに、結局ただ面倒事に巻き込まれたくなくて逃げただけとか!
もうヒバリに告げ口でもしてやろうか。
そんなことを思っていることを知ってか知らずか、話は終わりだとばかりに相手から攻撃を受ける。
ああくそっ、まずはこの眼鏡の迎撃だ!!