飴乃寂


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£監視調査£




「というワケで十代目、俺はこれから品臣を監視調査する為に暫くお傍にいられませんが、何かあったらすぐに呼んでくださいね!?」


「何がどういうワケ!?!?一体二人の間で何があったの―――――!?」


「それはまだ俺の口からは言えませんが、決定的な証拠を掴んだらすぐにお知らせしますんで!」


「ちょっ、ちょっと獄寺君!二階ではまだリボーンが寝てて……ああもうっ!!」



もう通い慣れた十代目のお宅にて。


十代目への挨拶を終えて一目散に目的の人物の元へ行くと、タイミング良く相手は昼寝から目覚めたようだった。


早速お話を伺うと、ターゲットはここんところ毎日、死ぬ気の炎の使い方を学ぶ為、ヒバリにフルボッコにされているらしい。


しかし、一つ解せない。



「あの、質問していいスか?」


「ああ」


「あいつは本当に真面目に修行してるんでしょうか?」



褒美がなけりゃ美形から動こうともしない、ヒバリとは違った単独常習犯なのに。


現にやつはボンゴレ的イベントにもほぼ参加せず、ナンパに明け暮れるだけである。



「ヒバリを昏倒させて寝顔を撮るって息巻いてるぞ」


「どうして毎度のように、んなアホな理由で死ぬ気になれるんだか……!」


「ちなみに開始は朝の五時。長引いても昼前には終えて、午後はお互いのハードスケジュースに戻ってるぞ」


「だからリボーンさんも、この時間には家にいらしたんですね」


「ああ。ここのところ、朝飯の後はすぐにお昼寝タイムだ」


「ったくあいつらリボーンさんにまで迷惑かけやがって……」



聞いたからには予想していたが、ほぼ予想通りの答えに、バカバカしくて頭が痛む。


二人とも忙しい忙しいと言いながらも、その為に毎朝早起きして修行しているだなんて、真面目なのやらただの阿呆なのやら。


下にずれた眼鏡を押し上げ、おもむろに手元のノートを見下ろす。



名称:品臣イチノ。


外見:暗い金髪を肩まで垂らしている。瞳の色は黒。痩せ型で身長は一六○前後。


一人称:ボク


特徴:面食いで変態。校舎をロープで登り降りしたり、ペニーや足でヒバリを撒けるところから、身体能力は上の上。


元水泳部であり、大声で長時間叫び続けられることから、肺活量も平均値より上であると推測される。


パラレルワールドにトリップしてたとかで知識は豊富らしく、周囲からは情報屋として『面食いの品臣』と呼ばれている。


持ち物:ペニー、メリケン、端末、ロープ、謎の白い本、モデル雑誌


好物:美男美女(老若問わず)、甘味


弱点:端末をとられたり壊されたりすること?この項目はやや不明

本人の好みではない顔には興味がないらしく、情報も少ないらしい

情報量が多ければ多いほど、ターゲットの興味関心も強いと思われる



書き留めておいたことを一通り読み返してから、その下に「現在はヒバリの寝顔を盗撮するために、ヒバリとサシの修行をしている」と書き足す。


その様子を見ていたリボーンさんが、そういえばと口を開いた。



「お前最近、顔色がいいな。何か変わったことでもあったか?」


「そうっスか?でも変わったことなんて特に何も……」



顎に手をあててここ最近のことを振り返ってみるも、顔色が良くなりそうな要素なんて……。


と思ってから、今朝ワカメと豆腐の味噌汁といった典型的な和食を食べてきたのを思い出した。


食生活がコンビニなどの外食から手料理に変わっただけで、顔色の違いが出てくるのだろうか。しかも、こんなに早く。


だとしたら、自分が思ってる以上に普段の食事は大切だということか。


しかしそのまま正直に言えるわけもなく黙っていると、リボーンさんは不思議そうに首を傾げた。



「そうか?マフィアも体が資本だからな。いいもん食ってしっかり精気を養ってるんだと、感心してたんだぞ」


「まっ、マフィアが体を、もとい食生活を気をつけるのも、十代目の右腕である俺からしたら当然のことっスよ!!」



リボーンさんに褒められたことが嬉しくて舞い上がってしまったが、これからは自分でも気をつけようと心に刻む。



「じゃあ俺、そろそろ行きますね!お休みのところ失礼しました!」


「おう、気にすんな」



リボーンさんから聞きたいことは聞けたし、長居するのも悪いので軽い荷物を持って立ち上がる。


さて。ここから本格的に、調査開始だ。




 
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