飴乃寂
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£夏休み獄寺編£
外食を含め、マシマロを始めとする甘味の食べ比べ。
人生ゲームやトランプ、ボードゲームにネットマネーを使ったパソコンでのリアルカジノゲーム。
プレ〇テやD〇はもちろん、どこから仕入れてきたのかファ〇コンや曰く付きで既に絶版されたゲームソフトというか所謂クソゲーなんかもあった。
伯父さんの影響なのか血筋なのか白蘭もやはりオカルトに興味があるらしく、こっくりさんも心霊スポット巡りも散々した。
相変わらず街の美男美女の発掘を怠ったことはないが、夏休みに入ってからほぼ毎日白蘭と遊んでいるので、一学期に比べて逆に風紀の仕事にさく時間が短くなり。
お陰で並盛に帰れば必ずどこからか黒装束の魔王様が追いかけてくるし、何度か縄で縛られて仕事が終わるまで応接室に繋がれて、死地で戦う兵士の気持ちを実体験し。
それでも早川さんと週末やあらゆるイベントは欠かさなかったのだから、夏休み中は某財閥社長よろしく秒刻みのスケジュールが続いていた。
店の美男美女とは八十秒、ばったりでくわした知人とは六十秒、ナンパはアドレスだけ聞いて後日連絡することにして、情報屋目当てに送られてくるメールには三十秒以内に返すというマイルールを設けてから、幾分か楽になったが。
眠い。寝不足で死にそうだ。
「だから最北のダンジョンの案内人を落とし穴に落として埋めれば、全キャラのレベルがあっという間に最大値になる裏技が……」
「十代目が逐一手順を踏んで努力してるのに、俺だけそんなズルできっかよ!!」
「でも君さっきから同じところで躓いてんじゃん、その中ボス何回目だよ」
「るっせー!まだたったの百三四回目だ!!」
「まあまあ二人とも、ただのゲームなんだしさ……」
今日は久しぶりにツナ宅にお邪魔している。
正直に言えば、友達の家に遊びに行ってしまった奈々さんが帰ってくるまで、獄寺のゲームオンチっぷりを冷やかしている。
獄寺は今巷でも流行りツナも熱中しているゲームだというそれを、ツナがプレイしているのを見ているうちに興味が出てきたらしく、やらせてくれと替わってから今に至る。
ボクは白蘭と既にやりこんだゲームなので、アイテムもストーリー分岐もコンプリート済みだ。
ちなみに裏技があるのに白蘭も妙に拘って頑なに使わなかったので、全クリするまでにまる二日かかっている。もちろん徹夜だった。
何なのこいつらのフェアプレー精神は。ボクがズル賢いだけ?
「ただいまー!」
「おかえり奈々さん!!待ってまし」
ズガンッ
「お前はこの部屋から出るの禁止だ」
「君この家の女性に対して過保護すぎるよ!!お陰で今日はビアンキさんにもイーピンちゃんにも会えてないからね!?」
「ビアンキは伊勢海老を採りに先週から出かけてるし、イーピンは京子達と遊びに行ってるからな」
プルルルル
「もしもしビアンキさん?伊勢海老なら〇〇港の亀卦川さんって人が有名ですよ!はい!あ、なら明日には帰るって?気をつけて帰ってきてくださいね!」
「てめぇ何アネキに無駄な入れ知恵してるんだよ!!」
「君とリボーンとビアンキさんを天秤にかけるなら、間違いなくビアンキさんを選ぶよ!!」
「あっ、獄寺君ゲーム!!」
「あ゙あっ!!またゲームオーバー!!」
獄寺はいつになったら初級の中ボスをクリアできるのやら。
「俺はママンにエスプレッソを煎れてもらいに行くが、お前はママンの半径五十メートル以内に近づいたら発砲するからな」
「君はどんだけボクと奈々さんが仲良いのが気に食わないんだよ」
「世話になってるママンに変な虫がつかないよう見張るのも、ヒットマンの仕事だからな」
「誰が虫だ奈々さんにつく虫ならボクが全て叩き落としてやるわ!!」
「フゥ太の浮気性ランキングでシャマルと同点一位のやつを信用できるか」
「いつの間に勝手にいらんランキングしてるんだよ!!っていうかあの美女オンリーで美男アンチも甚だしいシャマルと同等に扱われるのは納得いかん!!どこからどう見ても分け隔てなく愛してるボクの方が誠実だろうが!!」
「シャマル以上に節操がないってことだな」
「ボクは一度だって浮気なんかしたことないよ!!」
「人類みな兄弟だ」
「なんだ分かってるじゃないリボーン君。そうよ世界中の家族みんなと仲良くして何がいけないっていうの」
「ってシャマルが前に言ってたぞ」
「おのれあの美女狂いと同じ発想とか!!自分が許せん!!!」
「お前らが仲良いのはナンパする時と、女を吟味してる時だけだな」
「あのオヤジ、ボクが愛してやまないデルモチームをキモいの一言で切り捨てやがったんだ……今度会ったら海に沈めてくれるわ……」
その為にと言っても過言ではないあの情報を、ボクはついに掴んだのだ。
「ふふふふふ、例の王妃様を特定してやったぜ。これでいつでもヤツを破滅に追いこめる……」
「まさかそれ、シャマルに二○六二股されて国際指名手配犯にしたあの王妃様!!??」
「合法的にお縄頂戴してやるわ犯罪者めがあああっ!!!」
すっかり忘れていたが、やつらはマフィアの掟を守る善良なマフィアでも、世間的には法をいくつも犯している犯罪者なのだ。
警察に知らせれば、ヤツもヤツの組織も終わりだ。ボクを怒らせたらそれ相応の罰は受けてもらおう。
残念ながら、一匹狼のシャマルには組織も後ろ楯も何もないが。
多分リボーンは、シャマルに何かあっても自力で何とかしろと助けないだろうし。
ゴリリッ
「シャマルだけならいいが、俺にまで妙な事しやがったら、その時はお前もお前の本棚も塵と化すからな」
「痛い銃口が眉間に食い込んでて痛い!!ちょっと君をチラ見しただけじゃん!!」
「明日はお前の修業をするから、時間を空けておけよ」
ガンッ
「うぶっ」
愛銃を人の眉間に突きつけてから顎を蹴りあげて気が済んだのか、リボーンは空のカップを片手に部屋を出ていく。
なんでリボーンは毎回人をボコボコにしていくんだか。出会った当初は優しいと思ってたのに、あれは幻覚か。
顎をさすりながら、ん?と首を傾げた。
「今、修業って言った……?」
「だああああああくそっ!!どうして倒せねーんだよ、壊れてんじゃねーのかこのゲーム!!?」
「待って獄寺君!それリセットボタンだから!!セーブ!!セーブして!!!」