飴乃寂


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「あ、ジャージ借りれたんだ」


「うん、今日はこれで過ごす」



教室に戻り、両手を広げてツナにジャージを見せる。


雨だから先生も大目に見てくれるって。



「凄くずぶ濡れだったもんね……」


「ブレザーから水滴ってたしね」



傘って雨が少し強いと、さしててもわりと濡れるよね。


同じ状況にあった獄寺が、よくよく見たら軽症だったのが解せぬ。



「あのまま校舎に入って廊下ベタベタにしたら、ヒバリさんが飛んできそうだし。着替えられて良かった」



昇降口から入らず、直接保健室に行って着替えてから教室に来たのだ。


そこで朝は一緒だった獄寺とツナと別れたんだけど。



「保健室には誰かいた?」


「惜しいダンディ保険医がいた」


「ダンディ?って、まさかシャマルのこと!?」


「美女情報を交換したかったのに、それどころじゃなかったよ」


「美っ……?」


「気になるならツナ君に教えてあげるよ?ボクが街を駆けずり回って得た、美女がいるお店の情報」


「きっ………聞かないよそんな話!」



空いた間が怪しいぞ、ツナ君。


それにしても、と自分の右手を見下ろす。



「保健室で迫られてつい、美形の顔面を殴ってしまった……ボク、暫く立ち直れないかも……!」


「正しい判断だよ!あの医者の自業自得だから!!」



でもさ。でもさ、ツナ。



「普通に喋ってる時は、カッコいいんですよあのおじさま!卑怯だ!」


「目を覚まして品臣さん!!なんか色々と心配だよ!!」



獄寺もだったけど、今日もツッコミが絶好調だね、ツナ。


元気がなにより。




 
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