飴乃寂
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£転校生とダイナマイトと端末と£
朝のホームルームで、転校生を紹介された。
俺は直感した。朝からちゃっかりリボーンが教室にいる理由は、これだと。
先生に見つからないように小声で、堂々と机に座るリボーンを呼ぶ。
「おい、リボーン!またマフィアじゃないだろうな!?」
「知らねえぞ、転校生の話は俺もさっき知ったんだ」
「えっ?」
獄寺君の前例があるからか凄く嫌な予感がしたけど、今回はリボーンの差し金ではないらしい。
この時期に珍しいな。なんて、少し前に獄寺君を編入させてきたやつが、何を言ってるんだか。
でも、何かにつけて生徒をマフィアにスカウトするリボーンだ。
頼むから余計なことするなよと念を押して、俺も改めて教壇の横に立ってる転校生を見た。
「品臣イチノだ。仲良くするように」
先生の紹介に小さく会釈した顔は、長い前髪のせいではっきりしないけど、表情は乏しい。
「席は………あそこが空いてるな。あの、空いてる席だ」
「はい」
転校生が指定された空席は、俺と同じ席の列だった。
俺よりも後ろの席だったから、転校生は俺の席の横を通っていかなければならない。
失礼にならない程度に近づいてくる転校生を見ていると、鞄に獄寺君と通ずるような、イカつい銀色のストラップをつけているのが見えた。
髪も色合いは暗いけど金髪だし、どちらかというと攻撃的な雰囲気だけど。
先生には敬語だから、獄寺君みたいなもろ不良ってわけではないみたいだ。
(あ、)
目があった。
にこりと微笑まれ、反射的に口を閉じる。
そのまま身動きできなくなった俺をよそに、転校生は俺の横を通りすぎていった。
「ヘタレ」
「うるさいっ!」
超小声でリボーンに悪態をついたところで、ホームルームを終えるチャイムが鳴る。
俺と転校生の出会いは、あとから思い返せば、驚くほどそっけないものだった。