秘密の黒の執事
□危ない“執事”
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――なんで、こんなことになっているの―?
「あのっわたし一人で着替えられますっ」
「夕食の準備は整っております。急がれなければ横田さんが丹精込めたお食事が冷めてしまいますよ?」
「だからっさいじょ…蓮さんが出て行ってくれれば…やぁっ」
「私がお手伝いした方が早く済むとは思いませんか?」
蓮が出て行ったあとで日向が着替えたとしても、着替えにかかる時間差などたかが知れているのだが…
完全に蓮のペースになっているため日向は言いたくても言わせてもらえない。
そんな日向を腰に回した手でガッチリとホールドした蓮は慣れた手つきで制服のリボンをほどく。必死に蓮の腕をつかみ抵抗するのだが日向の細腕では当然敵うはずもなく…
真っ赤な顔で抗う日向に蓮はほくそ笑んで、更にYシャツのボタンをはずしにかかっていた。
「やだぁっ…蓮、さんっボタン外さないで下さいっ…ひゃぁっ」
「何故です?」
「だって…はずかし…」
「あぁ…そうですか」
「やだっ…くすぐった…」
「………」
第3ボタンまで外し日向の鎖骨をスっと撫でる。ビクっと震える日向にやはり男慣れしている様子はなく、自分に触れられるのを恥ずかしいと腕をつっぱり距離を取ろうとする。そうすればするほど胸の辺りが見えるのだが、もちろん日向は気が付かない。
「…私に触れられるのはお嫌ですか?」
「……え?」
「嫌ですか?」
「え、いや…あの…」
突然蓮に自分に触れられるのは嫌なのかと問われると、そうではなくて…と真っ先に思ってしまった日向はまた顔を赤らめる。しばらく沈黙が続き、観念したように小さい声でポツリと呟く。
「…イヤ、じゃ…ないですけど…」
「っ………」
「でも、はずかし、です…」
「左様でございますか。」
日向を見下ろす蓮には日向の胸元が完全に見えてしまっていて、それでなくても可愛い可愛い本気で食べてしまってしまいたいくらい思っている日向が顔を真っ赤にし自分のことを嫌ではないと言ってくれたのだ。
このまま本当に食べてしまおうかと真剣に考える蓮だったがそれは時期尚早だと僅かばかりの理性で必死に自分で自分を止める。
「わっ!あのっやっ…」
「蓮さっ……やぁっん、」
「ちょ、あのっ…きゃっ」
日向のいろんな所を触りつつ、やはり自分の手で着替えさせたのだった。