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□秋の風が運んできた幸せ
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「寒いな」
「だな」
部活が終わり、天馬達と別れて二人っきりになった俺と剣城。
剣城は上着のポケットに手を突っ込んでいて、転んだら危ないだろうな…と考えてしまった。
「白竜」
「なんだ?」
「俺の家寄ってかねーか?」
剣城から誘ってくるなんて珍しい。
いつもは俺のことうざいとか言うくせに…
「いいのか?」
「だってお前、寒くて鼻赤くなってるし…寒いなら寄っていけば?」
こういう時、剣城の優しさが凄く伝わってくる。
俺のことちゃんと見てくれてるんだな…とか。
「じゃぁ、行く!」
「…ほら」
俺の手を握る剣城の手があたたかくて、手を繋ぐのが恥ずかしいと思った。
「行くぞ、白竜」
「ああ!」
たまには寒いのも悪くないかもな。