short

□バスケバカ
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バスケバカと



「かーがみんっ!」

「うわ!?坂口先輩!
びっくりさせんな、です!」


部活の休憩中にボーッとしてたら、急に頬に冷たいものが当たってすげーびっくりした

冷たいものっつっても、ペットボトルだったんだけど


「ごめーん」


手を合わせて謝ってくる坂口先輩

全然謝られてる気がしない


「…ってか、そのかがみんって呼ぶのやめてくださいって」

「やだよー、せっかく可愛いのに!」


可愛いとかの問題じゃないし、男が可愛いなんて言われてもこれっぽっちも嬉しくない


「可愛いって……」

「かがみんは超可愛いよ!
大丈夫!この坂口先輩が保証するから!」


意味が分かんねぇよ坂口先輩

はぁ、と短いため息が自然と口からこぼれる

坂口先輩にはいっつもペースを持ってかれてばっかだ

ちなみに、坂口先輩はしょっちゅうバスケ部に遊びに来てる暇人だ

監督と仲が良くて、よくマネの仕事を手伝ってる

監督はすげー助かるってうれしそうだった

そんで、こんな性格からなのか、誰とでもすぐに打ち解けて相手の心を開いちまう

まぁそんだけ仲良い奴がたくさんいるわけなんだけど、個人的には面白くない


つまりそれは、おれが坂口先輩を好きということになる

否定はしない

実際本気で好きになってるしな


「そいや、ずっと気になってたんスけど」

「なになに?
何でも聞いて!」


私にお任せーとでもいうように、胸をはる先輩


「先輩って彼氏とかいないんスか?」

「は!?」


先輩は心底驚いたのか、元々でかい目をさらにでかくした

それから、みるみる顔が赤くなっていった


「か、彼氏?あ、う…」


え、誰だこの人

先輩がこんな表情してんの初めて見た

可愛いな…


「いるんスか?」

「い、いない!」


安心した

まだ俺にもチャンスはあんのか


「火神君は…?」

「へ?」


つか今、火神君って…


「彼女とか、いるの?」


少し淋しそうな表情をしながら、いつもよりかなり小さな声で聞いてきた


「いないっスよ」

「そ、そうなんだっ」


俺の答えを聞いた瞬間、すっげー嬉しそうな顔になったように見えた

気のせいかもしれないけど


そん時、何の自信がどっからでてきたのか自分でもわかんねぇけど、いける気がしたんだよな


「先輩」

「ん?」


まだ少し顔が赤い先輩は、両手で両頬を抑えながら首を傾げた


「俺、先輩のこと好きだ」


言ってしまった


いや、なんとなくできる気がするって時あんだろ?

あれだよ

何か今なら言える気がして…言っちまったけど…

急に不安になって先輩の顔を見てみる

真っ赤になって、状況がつかめてないようだった

まぁ、ほんとに急だったもんな



「俺、バスケばっかで構ってやれねーし、どっか遊びに行ったりすんのもなかなかできねーと思う

でも、先輩のこと誰より好きだし、絶対大事にする、です」


我ながら大胆なことを言ったと思う

さすがに恥ずかしくなってきた


「か、かがみくん!」


俯いていた坂口先輩はばっと顔をあげ、何か言いたそうに口をパクパクしている


「あ、あのね!
私はバスケやってる火神君がスキ!

他のこと全部忘れてバスケに夢中になってる火神君がスキ

優しくて照れ屋さんで面倒見がよくて、頑張ってる火神君がスキだよ!」


「………」


何を言いだすのかと思ったら、スキスキ連呼しだした先輩に俺は言葉が出ない

多分顔は先輩と同じくらい真っ赤だ


「あ、だ、だからね!
何が言いたいのかと言うと…私も火神君がスキ、です

よ、よろしくお願いしますっ」


ガバッと頭を下げた先輩に今度は俺のほうがこんがらがってきた

えっと……つまり…成功?


「か、かがみん…?」

「大我」

「へ?」

「大我って呼んでください、海美先輩」


「た、大我っ」

「うっす」


ニッと笑うと先輩も嬉しそうに笑って、大我、大我と小言でつぶやいてた

そんな姿がまた可愛くて


「大我も先輩敬語なしだよ!」

「おうっ」


海美が彼女になったのが嬉しくて、思わず小さい体を引き寄せた



人気者な先輩
(大我、いつから私のことスキだったの?)
(今思うと初めて会った時から気にはなってたと思う)
(同じー!)

`12,11,27


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