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□遠回しに
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10月下旬

本格的に寒くなってきた今日この頃

隣で両手をこすってる彼女、坂口海美も寒そうだ

大体、こんなに寒いのに手袋をしてないのはおかしいんではないのか…

そんなことより


「海美さん」

「何?テツヤ」

「スカート、短すぎます」


しゃがんだら見えてしまいそうなくらい短いスカート

2人っきりだったらまだしも、校内でこんなんなのを許す彼氏はいないでしょう

僕が過剰に反応し過ぎなのかもしれないですが


「あっ、ご、ごめん!すぐ直す!」


僕の機嫌が少し悪くなったのを察したのか、その場でスカートを少し下げた

下げたと言っても短いにはかわりないですけど、急いで下げる姿が可愛かったのでまぁよしとします


再び両手をこすり始めた海美さん

…何だか僕まで寒くなってきて、軽く両手をこする

その様子をチラ見した海美さんは口を両手で覆い、咳払いをしてからそっぽを向いて


「テツヤ、寒いね」


そう僕に言ってきた

…手、繋ぎたいのかな
すぐに海美さんがどうしたいかが分かってしまった

素直に言えなくて、遠回しに誘ってるのが可愛い

こんな彼女を見れば、いじめたくなってしまう


「そうですね」

「すごく寒い」

「はい」

「手、すごく冷たいの」

「海美さんは冷え症でしたもんね」

「なんで手袋忘れちゃったのかな」

「忘れっぽいですね」

「そういうテツヤだって、手袋してないじゃん」

「僕はなくても大丈夫ですから」

「むぅ……
もういいもん、テツヤの鈍感!」


ばーか!!
と、こちらに舌を出してきた

そんなこと、可愛い以外のなにものでもないですよ


「海美さん」

「…何よ」


ムスッとしてる海美さんにクスッと笑いをこぼしてから


「寒いですね
手、繋ぎましょうか」

「!う、うん!!」


左手を出してそう言えば、ムスッとしていた彼女の表情は僕の大好きな笑顔に変わった




遠回し
(テツヤ大好き)
(…そ、そういうことは言えるんですね)


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