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□一方通行の恋愛
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『…遙君が寝てるなんて』
初めてみた寝顔は綺麗でした
私は普通のどこにでもいるような女の子で、ただ普通にいつもを過ごしていた
そんな私を虜にしたのが、同じクラスの七瀬 遙君
女の子を思わせる名前、見た目も綺麗な人
遙君といつも一緒にいたいと思い、私は泳げもしないのに水泳部のマネージャーとして、水泳部に入った
遙君は私の初恋
その彼が部室で寝ている
部室にあった椅子に座り、机にうつ伏せになるようにして、眠っていた
そして、顔は苦しかったのか、横をむいていて、私はその寝顔をバッチリ見ることができていた
『(は、はるか君の寝顔っ!!きれーっ!!)』
そんなことを思いながら、彼の顔をまじまじと見る
睫毛結構、長いなとか肌綺麗だなとか思ってしまった
遙君は私が叫んでいる(心の中で)ことを知らないで、整った呼吸をしていた
しばらくこの様子を見ていたいものの、放課後の部活あと、それも、そろそろ帰らなければいけない時間が近い
ここで私は疑問に思った
何故、遙君は部活で一人で寝ているのか
いつも一緒にいる真琴君が起こして、帰っていると思っていた
私は今日、先生に呼ばれていて、部活には出なかった
もう帰っているはずだと思いながらも、部室の前を通ると電気がついていて、入ると遙君が寝ていたのだ
疑問はいまだに解決出来なかった
今はそんな疑問よりも、遙君を早く起こして帰らなければと思った
『遙君、起きて』
彼の肩をゆする
ほんの少しだけ、手が熱い…///
「ん…」
遙君の眉間にシワがより、身動きをしたので起きるかな?と思ったが、目を閉じたまま、また寝息が聞こえた
『(…起きない)』
全く起きない彼に少しだけ、してみたいことがあった
遙君は女の子に興味がないことは知っていた
だから、私の恋は叶わない
一方通行の恋だから…
遙君に顔を近づける
そして、軽く遙君の唇にキスをする
『好きです…ハル』
恥ずかしくなり、逃げるように扉に向かう
真琴君にあとで連絡をいれておこう
私はまず、この場から早く逃げ出したかった
しかし、それは誰かにより阻まれた
突然、後ろから手が伸びてきたのだ
背中が温かいので、抱きしめられているらしい
「…由」
『っ!?』