時を越えて(完)

□はち
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その時、ガサッと音がして流石にハッとしたりのは辺りを見渡した。

「緋村 今なんか音がーーー」

「シッ、出来るだけ静かに拙者達から離れるでござるよ」

操は今までの話を信じていなかったのか、話半分だったのか、

「もしかして……あんた達狙われているって本当だったの?」

と呑気に聞いてくる。

「いいから早く」

操に急かす様に言って暫く様子を見ていたが何かが可笑しいと思いりのが走り出すと、剣心も後を追ってきた。

しかし、りのに追いついた時には既にりのは血だらけで虫の息となった男の前に佇んでいた。

少し遅れて操が来るとハッと息を飲む。

「!?……この人死んでるの…」

「いや、だが… 何か…言い残す事はないでござるか。こうして死を見とるのも何かの縁、出来るだけの事はするでござる」

剣心がしゃがんで男に問いかける。

「…た…頼む、俺の…弟と村を志々雄の連中から救ってくれ…」

そう言って男は涙を流し亡くなった。






その男の村とは 東海道は
沼津宿から少し離れた所にある
人口二十人足らずの
山間の小さな半林 半農の村落。

名は 新月村

ほんの二年前までは
何の変哲もない村だったという。
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