時を越えて(完)
□ろく
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赤くなった弥彦を左之助と薫がからかっていると、剣心が小さな声で問いかける。
「拙者は…?」
思わぬ質問にキョトンとして剣心を見ると 何を期待しているのか僅か頬を染めて恥ずかしそうにしていた。
「剣心はまだ」
だが、その一言に期待を砕かれた剣心はガックリと項垂れた。
「まだ…大切な事に気付いていない。それに気付いたら…」
途中で言葉を切り顔を上げた剣心の耳元に唇を寄せて囁いた。
「最高の男だよ」
フッと耳に息を吹き掛け 顔を離しニヤッと妖しく笑ったりのに剣心は耳を押さえ顔を真っ赤にして口をパクパクと動かした。
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神谷道場に着くと 左之助と恵も来ていて何故か首輪があった。
「りの!」
薫は剣心が大久保の所に行くと言うのが不安なのか眉を下げてりのを見る。
りのもまた困った様に眉を下げ薫の頭を撫でると剣心に向き合った。
「行くのか、剣心…」
「ああ、りのもでござろう?」
「まぁ…」
「だったら私達も一緒に…!」
「いや…混み入った話になるから二人がいいでござるよ」
皆で行くと言った薫を断り剣心はりのを連れ立って神谷道場を後にした。