短編〜中編
□勘違い
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「「「………………」」」
左之の手に自分の手を重ねて余った指の長さを測る真似事をしていた りのがキョトリと小首を傾げた。
「剣心、どうしたの?」
そんなに慌てて、と左之から手を離した りのはステステと拙者の傍に来て下から見上げる様に顔を覗き込んで来た。
お…おっきい…手。手ね、手…。
「あ、そうだ。剣心も手思ってたよりおっきいよね?」
拙者の手を取って左之にしていた様に手を重ねるとほら、と左之に見せた。
「いや…、 りのの手が小せえだけだろ」
からかう左之にムッとして頬を膨らませた りのはベェ、と舌を出して前庭の方へと戻っていってしまった。
「けんしーん、お前ェ何勘違いしてんだ?」
ニヤニヤと笑いながら肩を組んで来た左之にがっくりと肩を落とした。
「紛らわしい会話をするな、でござるよ…」
ケケケ、と変な笑い声を上げながら帰って行った左之にうんざりしながら拙者も掃除の続きに戻るのに前庭へ行くと、縁側に座った りのがまだ拗ねているのか足をプラプラさせていた。
「 りの殿、拙者は りの殿の手が小さくて良かったでござるよ」
隣に座ってその手を取ると りの殿は不思議そうに拙者を見上げた。
「どうして…?」
「ほら、ピッタリでござる」
繋いだ手は、拙者の掌にすっぽりと収まった。
それを見た りの殿も、笑顔が戻る。
「やっぱり剣心の手が一番ドキドキして安心する」
そう言って微笑った りの殿に、胸がきゅんとした。
end