御礼
□君の心へ
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後日、約束通りりのと芝居を見にきていた剣心は色んな話しをしながら並んで歩く事に幸せを感じつつ、隣のりのを時折盗み見た。
可愛らしいと綺麗を織り交ぜたような、不思議な魅力。
「剣心?」
クイと袂を引かれ我に返るとりのが首を傾げながら見上げてきていた。
「(ブッ!鼻血が…)な、なんでござろう…」
「んーん、急に黙ってしまったからどうかしたのかと」
「りの殿に見惚れていただけでござる」
にこりと笑ってりのの手を取ると指を絡ませ芝居の後に行く約束をしていた甘味処を目指す。
「剣心てば…」
顔を真っ赤にさせたりのは、俯き気味に手を引かれるままに歩いていた。
周りの人達もあの告白現場を見ていた人が多く、温かい目で微笑ましいそれを見ている。
だが、剣心を知らずともここはりのの地元界隈だ。りのを知っている人もいるわけで。
見た目こそ若い剣心だが、常に帯刀もしているし良く言わない人もいるし、りのの父親を知る人もいる。
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