御礼
□君の隣で
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「おろろ〜」
次から次へと出てくる言葉に剣心は目を回しつつもその中に嬉しい誤解と複雑な己の知らないりのの話に舞い上がったり落ち込んだりと大忙しだ。
「この子いーっつも剣心さんの話してるんですよー?あ、因みにりのは年上好きだから問題無いです!」
「みっちゃん!」
「本当の事でしょ?弓道馬鹿が頬染めて一人の人の事ばーっかり話してんだから」
「ようこちゃんっ!」
「可愛いー!照れて泣きそう!」
「ふみちゃん〜」
顔を真っ赤に涙を浮かべたりのを三人はからかいながらトンと背中を押して剣心へと追いやる。
「剣心さん後はフォロー宜しくね!」
「ふ、ふぉろー?」
「じぁねー、りの」
「明日の稽古に響かない程度にねー」
変わらずきゃあきゃあと騒ぎながらりのを置いて帰ってしまった三人に剣心はポリポリと頭を掻きつつチラとりのを見た。
羞恥で今にも涙が零れそうになりながら耳まで赤く染めて戸惑いか動揺か落ち着きなくソワソワしている。
「その…」
「ごめ…なさ…」
剣心が声を掛けるより早いか同時か、ギュッと着物を握り締めキツく目を閉じた瞼の隙間からハラハラと涙が零れていく。
とうとう俯いてしまったりのに剣心は目を細め優しく微笑んだ。
「………拙者、嬉しかったでござるよ?」
「え…?」
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