御礼

□例えばA
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「「入れ替わったぁぁ!?」」


薫と弥彦の驚愕して揃った大声に剣心(の中私)と私(の中の剣心)はビクリと上体を反らして冷や汗をかきつつコクコクと頷いた。


嘘でしょ、まさか、と口々に信じ難いと口にする二人に困ったなぁと、剣心(見た目私)が眉尻を下げた。

「兎角元に戻る方法を考えるでござる」

「あ、それならもう一度ぶつかってみるとか?」

「あの衝撃を故意にやるのは難しくねェか?知ってたら身構えちまうだろ」

「それもそうね…」

「何か良い方法はござらんかなぁ」

「りの…?どうしたんだ?」

信じ難いけど剣心(見た目私)の喋り方が違和感なさすぎて妙に納得してしまった二人と剣心は戻る方法を模索していたが、剣心の隣で無言で俯くりのに気付いた弥彦が心配して声を掛けた。

薫も剣心もりのを見るが肩を震わせるりのに痛ましそうに表情を歪めた。

が、


次の瞬間、顔を上げたりのはお世辞にも可哀想とはかけ離れた声と表情で立ち上がった。


「わーーーっ!!!男になった!!ヤッホーぃ」

剣心(中身が私)が小躍りしながらクルクルと回り縁側へと向かって行くと誰もがポカンと口を開けたまま惚けていた。

「一回立ちションしてみたかったんだよね!うふふー」

そのまま厠に行こうとした所を我に返った薫と私(中身が剣心)に飛び掛らん勢いで取り押さえられた。

「ぐぇ!」

「ま、ま、ま、待つでござる!!!」

「りの、あなたちょっと、しっかりなさいよ!」

二人はどうやらりのの一言に気が動転しているらしく、薫に至ってはお前がしっかりしろと言いたくなる程だった。

「何よぅ、だったら剣心(私)がお漏らししてもいいって言うの?てゆーか最初のぐえは無視か」

「う…、それはキツいでござる…。だがりのが拙者の体で用を足すのも…」

「そうよ!大体にして女なんだから立ちションの仕方なんて知らないでしょっ!」

剣心(見た目私)は自分のそんな姿を想像したのか何とも言えない表情をしたが、薫が此処に来て正論を述べた。

「おぉ!そうでござる」

「じゃあ剣心(見た目私)が教えてよ。あ、弥彦でもいいよ?」

コクコクと必死に頷く剣心(見た目私)だが次いだ私(見た目剣心)の言葉に目を剥いた。

当の弥彦はと言えばなんだ便所くれェのトコなのか、呑気に茶菓子を食べていた。

それどころか入れ替わって一番にやりたかった事が立ちションて!と笑っていたのだ。

間違い無く大物になるか唯の馬鹿だと誰もが悟った瞬間だった。

「オホンッ!まあ兎角厠は後にするでござるよ。さ、座ってもう一度話し合おう」

ええー!と不満そうに唇を尖らせながらも渋々席に戻った私(見た目剣心)に薫は一先ず安堵の息を吐いた。




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