御礼
□例えば@
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「みんなー!そろそろ焼けたわよ」
事の発端は私が大量に貰って来た薩摩芋。
どうせなら焼き芋にしようと薫が言い出したので誰の反対も無くその芋達は焼かれる事となった…。
「うめー!この薩摩芋すっげえ甘い!!」
弥彦から絶賛された焼き芋は次々とみんなの手に渡って行く。
「あら、本当!凄く甘いお芋ね!」
「こんだけあるなら遠慮はいらねェな!」
「左之助は元から遠慮なんかしてねェだろ」
「うるせェ!おお、本当にうめェな」
「りの殿に感謝せねばでござるな」
芋の取り合いで弥彦と左之助の間に小さな小競り合いを交えつつ、和気藹々と食していたトコロ。
プィ
「……………」
「誰か屁ェしただろ!」
ぎゃははと笑う弥彦に殺意が湧いた。
微妙に俯く私の隣には剣心。
たぶん、
いや絶対聞こえていた。
反対側にいる弥彦でさえ気付いたんだ。
隣にいたら誰がしたかなんて分かってしまう…。
好きな人の前でなんて事を!!!
今なら羞恥で死ねる!
左之助と弥彦と薫が三人で屁の出処を擦り合っているが、真犯人である私は言い出せず恥ずかしさに瞳に涙が溜まっていく。
「………拙者、屁くらい気にしないでござるよ?」
「………………」
剣心…………、の馬鹿アァァァァア!!!
三人が気付いてないのに明らかに私に向けて言ったらバレるじゃないか!!
あぁ、ほら!三人共こっちを見てる挙句に弥彦が気まづそうにしてる!
「剣心の…」
俯きボソリといった言葉を聞き取れなかったのか、剣心は首を傾げつつ「ん?」と笑顔で聞き返して来た。
「剣心の馬鹿アァァ!!」
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