御礼

□男の闘い
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拙者には、今 最も勝たねばならぬ奴がいる。

奴は事ある毎にりのを独占し、我が物顔で家を徘徊してはりのを見つけてまた独占する。

始めて奴と相対したのは三日前。
腹が減ってぐったりしている所をりのに助けられたらしい。
その時は丁度家を空けていた拙者は帰って驚いた。

りのの膝に乗り上げていたのだから…。

「りの…、そ…その毛玉はなんでござる…」

フルフルと震える指でりのの膝に何の遠慮も無く陣取っている、毛玉。しかも雄…。

「毛玉って…。可愛いでしょ?里親見つかるまで預かって欲しいって頼まれちゃって」

りのの膝から降りた毛玉は行儀良く座り拙者に向かって一鳴き。

「にゃお」

「…………」

「あら、ご挨拶?偉いね〜」

猫を撫でてご飯にしようね、と席を立ったりのを見送って猫と二人きり…。

「…ん"ん、拙者、緋村剣心と申す。幾ら猫と言えどりのの膝は拙者のモノであるからして…」

大黒柱として、ちょっと偉そうに言って見たが、猫は意に介した様子も無く寧ろ馬鹿にしたように目を細めてツンと外方を向いた。

「……………今すぐ出てけ!でござる」

庭を指差して猫を睨みつけると猫もムッとしたのか飛び掛って来た。

「み"ゃ〜っ!!」

「拙者に勝とうなど十三年早い!!」

ドスンバタンと取っ組みあっているとりのが戻って来た。

「何やってるの?」

「りの!今すぐこの猫を戻してくるでござる!」

「みゃぁん」


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