偶然は必然に奇跡を起こす(仮完)
□正義だとか悪だとか
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志々雄討伐の名の下に、京都を目指したはいいけれど…。
「歩きかいっ!!」
私を背負った剣心さんの背をパシリと叩く。
「おろ…。船は危険だし陸蒸汽は高いでござるから仕方あるまい」
「……解ってるけど…」
神谷道場を出た後に、待ち伏せていた斎藤サンと会って船で行く事を告げられたけれど、剣心さんはそれを断っていた。
東海道ーーー。
東海道五十三次って聞いた事があるけど、その東海道?
よく解らないまま歩き始めた私は神奈川に着く頃には足が痛くて仕方なかった。
結果剣心さんに背負われている訳だけれども。
流石に人目のあるうちは恥ずかしかったから頑張って歩いていたけれど、箱根の山に入って人通りが無くなってからはもうダメだった。
「今日は箱根の山中で野宿でござるよ」
「箱根…ああ、箱根駅伝!!」
「箱根えきでん?なんでござるか、それは」
「え?ああ…、皆で箱根を走って速さを競う、みたいな感じ。私の時代に剣心さんがいたら駅伝の神とか呼ばれてそう」
「か、神でござるか…。まあ走るのは速い方だとは思うが」
「速い方なんじゃなくて速いんです!ていうかサラッと流すトコロだった!!野宿てっ」
「宿を取ってそこが志々雄の配下に狙われたら大変でござるからな」
「……ソウダネ」
私は虫に狙われたら大変だ。
少し拓けたトコロで焚火の為の枝を集めて火を熾す。