偶然は必然に奇跡を起こす(仮完)
□人斬り抜刀斎
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何とか焦げなかった魚にホッとしながら朝食の準備を済ませて起きてきた薫さんと弥彦と四人揃って頂いた。
「今日はりの殿が作ってくれたでござるよ」
「あら、あらあら…」
「凄ェ…。美味ぇーー!」
「良かった…。竈なんて使ったの初めてだからちょっと不安だったんです。緋村さんが火加減見てくれたから…」
「拙者は本当に火加減だけでござる」
「凄ェよ!剣心の飯も美味いけどこれはそれ以上だぜ!!」
「本当!凄く美味しいわ!!りのさんて料理上手だったのね」
大した物は作ってないけれど何だか褒められたのが凄く嬉しくて…、誰かの為に作った事なんて無かったからこうやって人と食事をするのが 嬉しくて…、自然と笑顔になってしまう。
「「「………(か、可愛…)」」」
*****
初めて見たりのさんの笑顔はとても可愛かった。
きっと知らない場所でずっと緊張してたのね…。
こんな可愛い顔されたら、やっぱり男の人は好きになってしまうのだろうか…。
*****
可愛い…。燕以外でこんな可愛いと思ったヤツいねェ。いや、俺は燕一筋だけどっ!でも笑ったりのは凄ェ可愛かった。
「ちーっす、剣心昨日のヤツどうなっ…」
*****
その時縁側に左之が来た。朝から等珍しいと思いながら振り向くと、同じ様に振り向いたりの殿を見て左之助が固まった。
「左之、おはよう(見過ぎでござる)朝餉はまだでござろう?りの殿が作ってくれたのだが食べて行くか?」
「あ、ああ…りのっつーのか。俺は相楽左之助、よろしくな」
ちょっと顔を赤くしながらもニッと笑った左之にりの殿は少し警戒しながらもぺこりと頭を下げた。
「 藤咲 りのです…」
薫殿がもう一膳用意してくれたのを食べた左之は大絶賛だった。
「凄ぇな!こりゃ、料亭で喰ってるみてェな味だぜ」
「あ、ありがとうございます…」
左之の絶賛に恥ずかしそうに頬を染めたりの殿に何となくモヤモヤする。
「確かに凄く美味しいでござる。りの殿は良いお嫁さんになるでござるよ(拙者の)」
「「「…………(な、なんか今副音声が…)」」」
「お、お嫁さん!?」
ニコリと笑ってりの殿を見れば顔を真っ赤にしていてモヤモヤが晴れる。チラッと左之を見ると何だか変な顔をしていたが気にしない。
寧ろちょっとドヤ顔。