時を越えて(完)

□はち
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私達が神谷道場を出て
今日で三日目。
本来なら 既に
道中後半に入っているはずだったのに…


「緋村ァ、りの姉ェ、もうお昼だよ。そろそろご飯にしようよ。ねぇ、ねぇったらねぇ」

お昼を強請る操にりのは苦笑いで振り向くが、剣心は黙々と歩き続け ムッとした操が苦無を投げた。

「シカトすんな!コラ!」

「おおおおお…」

「ちょ;操…」

「何さ!大体にしてなんでわざわざ森の中 通ってるのさ!やっぱり マダ あたしを撒こうとしてるんでしょ!」

剣心の頭に傷薬を塗りながら 操に困ったもんだと思わず溜息を吐く。

「わざわざではござらん。ただ単に来た道を戻るより森を突っ切った方が近道になるからでござる。夕方には街道に出るが それまで拙者達は休むつもりはないでござる」

また歩き出した剣心の後を追いながら操に、

「お昼ご飯なら歩きながら食べたら?」

と言えば逆にお昼の心配をされてしまった。

「成程 それじゃあ早速…緋村達は食べないの?」

「生憎拙者達は弁当は持ち合わせてござらん」




結局あの後ずっと 御庭番衆の話をしながら歩く操に私は適当に相槌を打つが、剣心は全く関心がない様に歩き終いには、

「あ 蝮でござる」

と蛇を捕まえた。
そんな持ち方したら噛まれるぞ…

「せっかくみんなの事話してあげてんのに ちゃんと聞け!!まったく、これからいよいよ蒼紫様の話だっていうのにさ」

「蒼紫…」

剣心が考え込むような表情を一瞬みせるとりのも釣られて同じ様な顔をしてしまい、蒼紫の話をする操を見た。

が、次の瞬間には剣心は歩き出し 操は気付いてない。

りのも後に続きながら草木を掻き分ける。

「何よ あたしの話より前に進む方がそんなに楽しい訳?草木をかきわけて歩くほうが」

そこまで言いかけて操は今までの行動を考えて 疑問に思ったらしく二人に、

「ねえ なんでわざわざ手間かけて草木を 選りわけているのさ」

と聞いてきた。

りのはいかに綺麗に選りわけられるか どうでもいい事に夢中で聞いていなかったので剣心が答えた。

「その方が歩きやすいでござろう」

操は思わぬその言葉に剣心と蒼紫を重ねカンパンを恵んであげる、と二人に差し出すが 余りにも無我夢中で選りわけているりのに 剣心と操は微妙な顔をした。
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