短編〜中編

□攻略法
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神谷道場に居候する事になった りのは、悉く見た目を裏切る女性で、ついつい構いたくなる、目が離せなくなる…。

けれどそれは何も拙者に限った事でもなく…。

りのは二人と見ない美人だ。肌は程よく健康的な色だが滑らかなソレは絹の様で、細く長い指は器用に動く。
目鼻立ちもはっきりしていて、大きな目だが、きつ目の目元がツンとした冷たい印象を与える。


が、驚く程ぼんやりしている…。
器用なのは確かだが、買い物に出れば財布を忘れて行くし、時々何を買いに行ったのかも忘れて戻ってくる。

冷たく感じる眼つきも、たんにぼーっとしているだけで何も考えてないらしい…。
代わりに、笑うと目尻が下がって冷たい印象は和らいで思わずホゥ、と溜息が漏れてしまう程だ。


そんな りのを奴らが放っておく筈がなく…。






「 りの!今日俺ン家こねェか?美味い菓子貰ったんだ」

「左之助、私が貰ってもいいの?そんなに美味しいなら好いた女性にでもあげればいいのに…」

「あ?いや、だから…いいんだよ! りのにやるって言ってんだ!」

「そ?じゃあ…」

「行かせないでござる」

「剣心!(お前ェ邪魔すんなよ!)」

「左之…( りのが行ったら左之は りのを美味しく頂くつもりでござろう)」

「解ってんなら邪魔すんな」

「お断りでござる」


「………?(あ…)」」

「いいから帰るでござるよ、左之。赤べこのツケ払って出直せ。 りのもちゃんと払うべきだと言ってたでござる」

「ぐっ………」




ふう…、何とか左之を帰したでござる…。
すごすごと帰って行く左之の背中を見送って りのを振り返ると其処に りのの姿は無かった。
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