短編〜中編

□女の闘い
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それは剣心が道場に居候し始めてほんの少し経った時だった。


神谷活心流を語り人斬り抜刀斎と名乗り辻斬りをしていた男を探していた時に出会い、言わば一目惚れだった。

見た目は優男だけど美剣士だし、人斬り抜刀斎と志士名がついた程の強さ、それになにより優しい。

この人だと思った時には思わず引き留めていた…。








その日は道場に左之助も来ていて、四人それぞれ好きな事をしていた。

弥彦は稽古
左之助は昼寝
剣心は夕飯の買い物

私、神谷薫は庭の掃き掃除。

門の側を掃いていると、外から来客の知らせである声が聞こえて門から顔を出した。


「御免下さい」

「はぁーい、どちら様…」



門の前に居たのは偉く可愛い人だった。

背丈は私より小さくて、その所為か全体的に小さい。

透き通る程白くきめ細やかな肌と桜貝の様な爪に大きな二重の目は長い睫毛に縁取られて頬に影を作っていた。
色素が薄い所為か、その目は薄茶で何処となく儚い印象を受けるが、その瞳の奥は意志が強そうにも見える。

紅を引いた上品な口元に濃いめの桜色をした着物。


美人とか綺麗と言われる部類では無いモノのその可愛さにぼーっとしていると、その人は小首を傾げながらも笑みを絶やさず、思いがけない事を言った。
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