短編〜中編

□君の全て
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緋村抜刀斎を名乗り 辻斬りをしていた比留間を倒し神谷道場に暫く居候する事になった矢先




二人の出会いは偶然か必然か・・


本日は赤べこにて昼食の帰り道
士族に絡まれていた女性を助ける人はいない

誰もが心配そうにしながらも巻き込まれる事を恐れて遠巻きに見る事しか出来ない中、一人の剣客が間に入る


剣「その辺で勘弁して欲しいのでござるが…」

「なんだてめぇは!」

「俺達士族に逆らおうってのか!?」

「チビは引っ込んでな!女、さっさとこっちに来な!おとなしく着いてくれば可愛がってやるさ!」

ぎゃははと品無く笑う男たちに剣客が溜息を吐くと、それが癇に障ったのか男たちが殴り掛かってくる

難なく交わし一人、二人と沈めていけば最後に残った一人が有りがちな台詞、覚えてろ!を叫んで逃げて行く

薫「剣心!大丈夫?」

男たちが去ると駆け寄る少女と男の子に剣心と呼ばれた剣客が笑顔で頷き絡まれていた女性へと振り返る

剣「大丈夫でござる…か…?」





刹那






目を奪われ固まる剣心に少女と男の子が首を傾げながらも同じ様に女性を見れば奪われる視線


『危ない所を助けて頂きありがとうございます』

礼を言いゆっくりと顔を上げて微笑む女性を三人はボーッと眺めているだけで反応出来ずにいた

剣「(拙者は…どうしたのでござろう)」

薫「(綺麗な人…)」

弥「(………)」

『あの…』

反応のない三人に困惑した声がかけられるとハッとして剣心は手を左右に振る

剣「いや、拙者は当然の事をしたまで…礼などいらぬでござる!おろ!?」

赤くなる顔を必死に誤魔化す様に顔の前で必要以上に手を振ると隣にいた薫がムッとして剣心の髪の毛を掴んだ

薫「ったく!なによ鼻の下伸ばしちゃって!!これだから男はっ」

弥「自分がブスだからって怒んなよ」

薫「なんですってェ!?待ちなさい、弥彦!!」

男の子を追いかけて行ってしまった二人を見ながら りのは呆気に取られた様に口をポカンと開けてしまった

剣「いつもの事 故気にしなくても大丈夫でござるよ。また絡まれたら危険、拙者で良ければ送るでござる」

『え、あ…そんな、これ以上ご迷惑をかけるわけには…』

剣「拙者がそうしたいと思っただけの事、それとも返って迷惑でござろうか?」

『いえ…、それじゃあお願いしますね』

フフ、と口元に手を当てて笑った女性は荷物を抱え直して 家に帰る途中なんです。と歩き出す

剣「その、名前を聞いても…?」
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