物語りの終は

□二幕
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物語の終りのように、幸せが訪れる。

誰もが夢見るそんな現状は私には訪れる事はない。

訪れるとするならば、精々誰にも気付かれる事なく世界の隅で泥水を啜り地に這いつくばる終り。

全てを失ったなら、それすら厭わないけれど…。

蔑まれる事もなく、罵られる事も無く、まるで存在しないかの様な最期。

全てを失ったからこそ、それすら厭わないけれど…。



















時は明治十年。

比古清十郎の元を去った私は全国を歩き彼を探し続けて来た。

もう明治も十年を過ぎれば彼もそれなりの年だし、所帯を持っていても可笑しくない。

もしかしたら子どももいて、幸せかもしれない。


近頃では諦めるべきだと思い始めていた。

そらなのに、諦めきれないのは何故か…。

探す気力も、当に果てた。

今では東京に身を寄せ旅の途中に助けられた親子の家で奉公人として住み込みで働いている。

外で稼ぐお給金は多い訳ではないけれど、衣食住を与えられれば其れなりに暮らしてはいける。








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