物語りの終は

□序章
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オトコノコは俺だけだから、守らなくちゃと思ったんだ。

だけどなにも出来なくて…。

生き残ったのは俺と、俺より小さいオンナノコだけだった。

助けてくれた人はどっかに行っちゃって、だからその子と二人で皆の墓を作ったんだ。




「なまえ…なんていうの…」

「りのだよ。お兄ちゃんは?」

「俺は心太…」

「しんた?じゃあ心ちゃん」

「心ちゃんて…。やだよ、オンナみてーだろ」

「じゃあ心君?」

人買いに連れられて歩く中、年が近かったからか自然と二人寄り添うように傍に居た。

「はい、半分こ」

「え…、いいよ。りのの分だろ?」

差し出されたのはりのの分の食事と呼べるかも怪しい粗末な量のご飯。

「んーん、りのは大丈夫。心君が半分食べて。オトコノコは沢山食べなきゃ駄目ってお母さんが言ってたよ」

「…………ありがと」

俺が受け取った少量のご飯に、りのは嬉しそうにニコッと笑った。

たった数日。

それが俺とりのの一緒にいた時間だった。

「これからどうしよっか」

「どうしようね…。かすみさんも、あかねさんも、さくらさんもいなくなっちゃった…ッ」

ポロポロと零れる涙に、りのの頭をヨシヨシと撫でてやる。

粗末な石しか置いてあげられなかった墓の前。
人買いが夜盗に襲われた。

「俺が強かったら…」

ポツリと零した言葉に、不意に掛けられた声に振り返るとあの時助けてくれた男の人がいた。

とっておきをくれてやると言ったその人に、着いてく事を決めた時だった。

一緒にいたオンナノコは、俺よりもよっつ年下のりの。

りのはその男の人の知り合いに預けるから大丈夫だって…、離れ離れになった。



あの時約束したんだ。


俺がおっきくなったら迎えに行くって。

強くなって、りのを守れる位になったら…。


「強い大人になったら迎えに行くから待ってろ」

「うん、待ってるね。心君、早く迎えに来て…」






あの日から、どれだけの日を数えたか…。
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