SS集
□selfish
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[issueさまからお借りしています。]
「わたし、卒業したら外国に行くわ」
唐突すぎる彼女の言葉に、
僕は馬鹿みたいに驚くしかなかった。
「何か言いたいことは?」
「……僕が何と言っても、行くんだろ」
そんなのわかってる。
僕ときみは幼馴染みで、
僕を僕以上にわかっているのも、
きみをきみ以上にわかっているのも、
お互いだったんだから。
きみは一度決めたら、
絶対に変えたりしない。
そこがきみの一番好きなところだった。
今は、一番嫌いなところだけれど。
「恭、だいすきよ」
僕をそう呼ぶのはきみだけで。
これからもずっと、
そう有り続けるのだ。
「恭は、恭だけの道を歩んでね」
彼女の留学先をイタリアだと知るのは、
それから数分後のこと。
selfish 自己本位の
-僕の道は、永遠にきみと共に-