CROSS-2

□Unprecedented
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裁判所に麦わらの一味が集まる少し前、司法の塔でスパンダムは「バスターコール」の発動を要請する"ゴールデン電伝虫"を手に、優越感に浸りながら一人ごちた。
"権力"ってやつもまた「兵器」みてェなもんだな、と。
そこへ役人が一人、普通の電伝虫を抱えて駆け付けた。
廊下の壁に繋がれているクロス達は、いったい何事だと眉を寄せて耳を澄ませる。
乱暴に扉を開いた役人は、本島からの緊急の連絡だとスパンダムに電伝虫を差し出す。
それを聞いたスパンダムは、半ば鼻唄混じりに廊下に出てくると、壁に繋がれたクロス達のところへ歩いてくる。

「エニエス・ロビー本島より、緊急の報告があるらしい……緊急って程でもねェだろうが……予想はつくよなァ?」

「……………!!」

無言で俯くロビンと肩の痛むクロスに、顔を近づけて嘲るようにスパンダムは言う。
世界政府に逆らったバカ共の、なれの果てを一緒に聞いてみようぜェ、と高笑いさえしながら言うスパンダムに、クロスとロビンは唇を噛み締める。
そして、電伝虫に向かって話しかける。
麦わらの一味のその後だろ、とそう問いかけたついでに間違って殺しちまったか、なんて笑うスパンダムに衛兵の悲鳴のような声が重なる。

『侵入してきた海賊、約60名に現在エニエス・ロビー「本島」内最終地点、「裁判所」前広場まで攻め込まれました!!』

「は?」

『次いでは「本島前門」の巨人の門番、オイモとカーシーも海賊側に寝返り、只今「本島」中央付近を逆走中!!』

衛兵の被害人数を報告する声を聞き、スパンダムはただ呆然としている。
最初の報告を受けた時から、スパンダムは被害は5人だと思い込んでいた。
また、船長"麦わらのルフィ"は忽然と姿を消した為、現在捜索中だと報告する声が続ける。

『おそらく、これは―――エニエス・ロビーの歴史始まって以来、他に例をみない最悪の事態かと思われます!!』

話の途中で、スパンダムは電伝虫を放り出して部屋の中に駆け戻ると、窓に張り付き本島を見つめる。
その視線の先、裁判所の屋上にブルーノが居た。
現状報告の衛兵の声に、フランキーは高笑いする。

「………どうなってんだ………!!今この島で何が起きてるんだァ〜〜〜!!」

スパンダムの絶叫を聞きながらも、クロスとロビンの顔は俯いたまま。







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