CROSS

□criminal
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こっちは死ぬかもしれないような思いをして、何とか空島に辿り着いたと言うのに、入国料とやらにそんなに払わなければならないなんて、考えただけで腹立たしい。
そりゃ確かに、男が言うように入国時に80万ベリーを払えば良かっただけの事なのだが、あの時の俺達は換算した金額が判らなかったんだから、仕方がないと言えば仕方がない。
それとも青海から来た者が、天国の門でエクストルをベリーに換算した金額が判らない場合、こんなやり方でわざと不法入国者に仕立て上げているのだろうか。
入国料として、1人10億エクストルを支払うのがこの国の法律だと天国の門に居た婆さんは言っていたから、確かにこのやり方なら合法的に更なる大金を支払わせる事が出来る。
随分と強引なやり方だな、などと紫煙を燻らせながらクロスが呟いた時、遠くからナミさんの声が聞こえた。

「ちょっと待って!!!」

ナミさんの大きな声に、浜にいるルフィも甲板のクルー達も、ナミさんが無事に戻ってきた事に気付いた。
何があったのか、神官の直属部隊だと言う連中に逆らっちゃダメだと声を張り上げるナミさんは、遠目にもかなり必死の表情だ。

「じゃあ800万ベリーの不法入国料払えるのか!?」

ウソップの言葉に、だいぶ近付いてきたナミが安堵したように軽く俯き、まだ罰金で済むことに安心したように呟いた。
だけど、次の瞬間には態度も表情も一変させたかと思えば、見事にウェイバーを操り例の男の顔面に飛び掛かる。

「高すぎるわよ!!!」

ナミさんの怒鳴り声と同時に、ウェイバーの船底が綺麗に男の顔面に直撃し、男はそのまま勢いよく吹き飛ぶ。

「「オイ」」

甲板から、ウソップとマリモが綺麗に突っ込みを入れる。
ビーチに居て、間近で吹っ飛んでいった男を見たルフィは、何が面白かったのか腹を抱えて爆笑している。
あそこまで綺麗に吹き飛ぶと、むしろあの男に同情するのが普通だと思うのだが、ルフィの感性はやっぱ普通から少しズレている。
つくづく、ルフィの躾は何処かで間違えたような気がしてならないが、その責任は血の繋がりはなくてもクロスにあるのだろうか。

「さァ逃げるのよルフィ!!」

「わ!!何でだよ、お前、ケンカ仕掛けたんじゃねェのか!?」

慌てたナミさんがルフィの腕を引きながら、早く逃げようとしている。
何だか知らないが、面倒なことになる前に逃げるのは賛成だ。

「待て〜い!!!」

吹っ飛ばされた隊長が起き上がり、神・エネルの御名において俺達を"雲流し"に処す、とか叫んでいる。
どんな刑罰かと思えば、コニスちゃんの話では骨になるまで空をさ迷い続ける死刑らしいが、ルフィは何故か楽しげだ。
つくづく危機感のないヤツだ、と紫煙に混ぜてクロスが溜め息を吐き出す。
そのルフィはあんたの弟だろ、と突っ込むべきかどうか。

「成程……それで何もない空から船が……」

「何だ?」

「あぁ、例の空から降ってきたっつーガレオン船?」

ロビンちゃんの呟きに、ウソップなんのことか判らずに問い返したら、ロビンちゃんと同じことを考えていたらしいクロスが返す。

「えぇ。そのガレオン船、200年前にその刑を受けたんじゃないかしら」

「…………!!!」

ウソップが息を呑み、ビビった表情を浮かべる。

「引っ捕らえろ!!!」

「ハッ!!!」





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