CROSS

□staying in SKYPIEA
2ページ/4ページ


「………確か海楼石は、成分だとか詳しいことは解明されてない、謎の多い鉱物だったな」

「えぇ。まさか、海楼石がこの空島を形成していたなんて……驚きね」

煙草を燻らせながら、クロスが後ろを歩いていたロビンに声を掛ける。
正直言えば、俺もパガヤの説明を全部理解出来たとは言えないが、あの2人は別らしい。
海楼石の存在自体、この間アラバスタでスモーカーから聞いた程度だが、クロス達はもう少し詳しいのだろうか。

「でもアレだな、雲を加工する技術が確立されてるっつーことは、この空島で人が暮らし始めたのは随分昔だってことだな」

「そうね、ここにはどんな歴史があるのかしら」

「街もあるみてぇだし、後で本屋でも探しに行くか」

煙草をくわえたまま、口元に笑みを浮かべたクロスにロビンが頷けば、ぐる眉コックがクロスに食い付く。

「おいこらクロス!!何勝手にロビンちゃんとデートしようとしてんだ!!」

「……何でそうなる」

鬱陶しそうに呟いて、ロビンを口説いているぐる眉コックから離れたクロスは、階段脇の雲の上ではしゃぐルフィを眺める。







階段を昇りきり、すぐそこにある家がパガヤの家らしい。

「いいとこにあるな〜!!見はらしが最高だ!!」

「おー、確かにこりゃいい眺めだ」

はしゃぐルフィの隣に立ち、同じように白い海を眺めるクロスは、新しい煙草に火をつける。
そんな2人の後ろ姿を見ると、血の繋がりはないけど兄弟みたいなもんだと、そう言っていた意味が判る気がする。

「にしても、モックタウンでおまえに逢えて良かったわ」

「ん?何でだ?」

「おまえに逢えたから、空島なんて伝説級に不確かなとこに来れたからな」

「ししっ、俺もクロスと一緒に冒険出来て嬉しいぞ!!」

「そりゃ光栄だ」

笑いながら、ルフィの頭を麦わら帽子の上から撫で回すクロスに、いつも以上にルフィは嬉しそうに笑う。
そういや、勝手に麦わら帽子に触られることを嫌うルフィが、クロスには文句を言わない。
あの帽子にどんな意味があるのか、たぶんクロスも知っているのだろう。

「……にしても、おまえ随分デカくなったなぁ」

「おう!!すぐにクロスよりもデカくなるからな!!」

「そりゃ楽しみだ」

サングラスと前髪の隙間から覗く目元が、からかいを含んだ笑みの形に細められる。
血の繋がりがなくても、クロスにとってルフィは確かに弟なんだろう。
はっきりとは見えないが、その眼差しはエースと同じ弟を思う兄のそれで、死神の呼び名に似つかわしくない優しいものだ。

「おーいおまえら、中に入らないのか?」

パガヤの家の玄関から、いつまで経っても入ってこない俺たちを呼びに、玄関からウソップが顔を出した。

「おう、今行く!!」

元気よくルフィが答えて、クロスの腕を掴んで玄関に向かう。
その途中で、立ち止まっていた俺の腕もついでに掴んで、足音も荒く玄関に駆け込む。










「ウソップのアホー!!!」

「イヤ何でおれだよ」

貝殻の裏に向かって、ルフィがふざけたことを叫ぶ。
雲で出来たソファに腰掛け、そんなバカ2人を眺める。

「ふふっ…じゃあ、その貝の殻頂を押してみて下さい」

コニスの言葉に、ルフィが貝の殻頂をベコッと押すと、さっきルフィが貝に向かって叫んだ声が再生された。

「へー!!すげェな音を記憶したのか。この貝がダイアルか!?」

コニスに聞けば、ルフィ達がおもちゃにして遊んでいる貝を音貝、トーンダイアルと言うらしい。





次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ