CROSS-2
□Light snow of recollection
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船首に仰向けに寝転がり、空を眺めていたルフィの視界に不意に影が射し、目線をずらせば赤い瞳とかち合う。
「クロスっ!!」
「………ったく、ボロボロじゃねぇか」
「おう、全然動けねぇんだ」
けらけらと笑いながらそう言うルフィに、クロスは苦笑いを浮かべて左手を差し伸ばす。
その手を掴んだルフィは、クロスのなすがままに身体が引き起こされ、ポスンとクロスの胸の辺りに落ち着く。
「腕が動くなら、首に手ぇ回しとけ」
「ん」
ゆるゆると腕を伸ばし、何とかクロスの首にぶら下がるように掴まったルフィの腰を支え、クロスは船首から甲板に戻る。
喋る元気があるから大丈夫だとは思うが、やはり医者に診せておこうと思ってのことだった。
「なぁ、クロス」
「ん?どうした、チョッパー」
「ルフィにも血を飲ませてやったらどうだ?おれ、あれのおかげでもう動けるから」
「……あぁ、そうか。忘れてたわ」
首にルフィをぶら下げ、チョッパーと話しているクロスに、ルフィは首を傾げる。
「俺の血が特殊なのは、確か昔聞かせたよな?」
「ん?あぁ、クロスが右腕失くした時に、普通の人とは輸血とか出来ねぇって聞いたぞ」
「ん、よく覚えてたな。まぁ、早い話、俺の鮮血には一時的にだが治癒力を高める効果があるんだ。だから、俺の血を飲めば少しは回復が早くなる」
「ふーん、判った」
あっさりと頷いたルフィに、逆にクロスの方が驚いた。
普通なら、チョッパーの時のように他人の血を飲むことに抵抗があるはずなのに、ルフィはそれらしい反応を見せない。