CROSS-2

□Coward
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<夢主視点>

第1車両に戻り、ロビンとフランキーには手枷が嵌められ、俺はロープで後ろ手に縛られた。
じきにエニエス・ロビーに着くことを知らされ、あとは放置された。
その隙に、ロビンがフランキーにアイスバーグが無事なことを教えると、フランキーは安堵の溜め息を吐き出す。
CP9は殺したつもりだから黙ってろよ、と釘を指しておくと、そう言うのを親切って言うんじゃねェの、と言い返された。
別に親切心で言ったわけじゃない、と胸中でぼやいて、実際は無言を貫く。

「……………しかしまァ、「兵器」の設計図を持つおれと、存在する「兵器」を呼び起こせるお前と……これで政府はまんまと「古代兵器復活」への二つの鍵を手に入れたわけだ。死神は何で捕まってるか知らねぇが」

「知る必要はねぇよ」

「そうかい。まァとにかく、実際にその"力"がこの世に出現した時、当然政府は海賊達の時代を終わらせ……その後、持て余した軍事力は世界を揺るがし破滅させる。それくらいの脅威ある代物だ、「古代兵器」は」

そんなことのために師匠は命をはったわけじゃない、このまま捕まる気はねェぞと言うフランキーは、俺達に声を掛ける。
お前らも何とか麦わら達のトコへ帰るんだ、と言われて、ロビンは俯く。

「ムリよ。私は一緒にいるだけで、彼らを傷つける……!!」

「傷つけるのはお前じゃねェだろ?政府の人間もお前の存在を罪というが、どんな凶器をかかえてようとも、そこにいるだけで罪になるなんて事はねェ!!存在する事は罪にならねェ!!」

フランキーのその言葉に、ロビンも俺も何も言えなくなった。
そんなこと、今まで誰も言ってくれなかった。
存在自体が罪、生きているだけで他人を不幸にする。
そんなことばかりを言われ続けてきて、俺もロビンもそうなんだとばかり思っていた。
そんな言葉をくれる人なんて、居るはずがないと思っていた。
信じられない、とフランキーを見つめる俺は真っ直ぐに向けられるその瞳に、居心地が悪くなり目を逸らす。
無性に煙草が吸いたくなったけれど、手元にはないから苛々する。
だけど、もう二度と煙草を吸うことはないだろう、と苛立ちの中で考える。



 
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