CROSS-2

□Rescue failure
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<夢主視点>

ゆらゆらと、意識が夢と現実の狭間を漂う感覚は心地好く、このまま目覚めなければと思う。
そんな思いとは裏腹に、誰かが俺を起こそうと肩を揺らしている感覚に、否応なしに意識が覚醒していく。

「クロス、起きて……!!」

「………………んだよ」

低く呻くようにぼやいて、ゆっくりと目を開ける。
視界に飛び込んできたのは、何処か焦ったような表情を浮かべたロビンの顔と、妙な仮面の姿だった。
寝起きのよくない俺が、その妙な仮面のヤツを訝しむように睨み付けると、途端にビクリと肩を震わせる。
よくよく見れば、仮面から突き出した長い鼻で正体はバレバレだ。

「…………長っ鼻、ここで何してる」

「は、初めまして。私は狙撃の王様、そげキングだ」

「…………」

何が言いたいのかさっぱり判らんが、取り敢えず一発ぶん殴ってやりたくなるくらい、何か無性に腹が立つなこいつ。
寝起きでダルい身体を起こし、話を聞く体勢を整えてやる。

「どういう事!?」

改めて、向かい合って腰掛けてそう問い掛けるロビンに、長っ鼻は再びそげキングと名乗る。
挙げ句、俺達を助けに来たと抜かしやがる。

「私だけではない、この列車内で今、サンジ君とフランキーというチンピラが暴れてる。私はそのスキをついてここへ来た。さらにルフィ君達も、もう一隻の海列車でこの線路を追いかけてきてる。何やら大人数を引き連れてね」

淡々と言葉を繋ぐ長っ鼻に、俺もロビンも言葉をなくす。
何がどうしてそうなっているのか、意味が判らない。
呆然とする俺とロビンに構わずに、長っ鼻は話をどんどんと進めていく。
第2車両に居るCP9とぶつからないよう、長っ鼻の発明品とか言う変な靴みたいなので海列車の外板に張り付き、一緒に逃げようと急かす。

「………待って!!」

黙って聞いていたロビンが、思い詰めたように口を開く。

「どうしてそんな事に……!?私達はあなた達にはっきりとお別れを言った筈よ!?」

「そうだ……俺達は、もう二度と一味には戻らない!!」

何度も言わせるな、と言うようにキツい口調で長っ鼻に言ってみせても、仮面で表情を隠した長っ鼻は動じない。
それどころか、ガレーラのアイスバーグ氏に俺達の真意を聞いたと言う。
あの状況で生きてたのか、と思うと同時に浮かぶ、傷だらけのパウリーの顔。
アイスバーグ氏が無事なら、あいつも無事なのだろうか。

「それでも私達はあなた達の許へは……」

「何をゴチャゴチャと………まだわからねェのか!?お前が心配する程、あいつらヤワじゃねェんだ!!そんなくだらねェかけ引きに乗る前に、本当は一番に話してほしかったんだ!!」

声を荒げて、長っ鼻が怒鳴る。
あいつらはルフィが選んだ奴らなんだ、そんなにヤワじゃないことぐらいは判ってる。
話せるようなことだったら、最初から話していた。
ただ、問題はそこじゃないんだということを、おまえらは判っていないんだ。



 
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