CROSS

□VS.GOD
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5人に武器を向けられ、それでも尚エネルは不適に笑う。

「ヤハハハハハハ……!!……この私に……!?消えろと……!?」

左腕を胸の前で構え、短くなった煙草を吐き捨て、クロスは戦略を練る。
相手がただの人間ならば、大抵の奴に敗けることはないと自負しているが、相手が自然系の能力者なら話は別だ。
どう戦うか、それを考えるクロスの前で不適に笑うエネルは、演説を続ける。

「……ヤハハ……スカイピアの幸福を望む老いぼれに、ひたすらに"故郷"を望む戦士……黄金を狙う青海の盗賊共……悩み多きこの世だ……子羊が何を望もうと構わんが、この国にはそもそもの間違いがある……!!」

エネルの演説を遮って、ガン・フォールが神隊の居場所を、エネルの目的を問う。
その問いに、エネルは至極当然のように答える。

「……"還幸"だよ、ガン・フォール」

還るべき場所がある、そう話し始めたエネルの演説は、不意に熱が籠る。
そこは、"限りない大地"フェアリーヴァースと呼ばれる、果てしない大地が広がる場所。
エネルが生まれた空島では、神はそこに居るとされていて。
エネルは、そのフェアリーヴァースこそが自分にふさわしい、と腕を広げて熱く語る。

「……いいか!お前達の争いの原因はもっと深い……根元にある。よく考えろ……雲でもないのに空に生まれ、鳥でもないのに空に生きる。空に根づくこの国そのものが!!土台、不自然な存在なのだ!!土には土の!!人には人の!!神には神の!!還るべき場所がある!!!!」

「…………まさか貴様!!」

「「まさか」という程の事ではない。私が"神"として、自然の摂理を守るだけの事――そうだ!!全ての人間を……この空から引きずり下ろしてやる……!!」

エネルの目的が"還幸"だと聞いた時から、クロスはまさかとは思っていた。
だが、そのまさかだった。
エネルは空島を、スカイピアを消し去るつもりだ。
ギリ、と奥歯を噛み締め、エネルを睨み付ける。
クロスにとって、この場所は聖域に等しい場所だった。
長く探し求めた、クロスの魂の還る場所が、このシャンドラの遺跡だ。
その還る場所を、エネルは奪うつもりでいる。
とてもじゃないが、許せることではなかった。


 
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