CROSS

□GAME
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手帳を閉じたロビンに、ふとクロスが声を掛ける。

「見ろよロビン、トロッコの軌条だ」

振り向いたロビンも、クロスが見つけたトロッコの軌条に、疑問を呟く。
何かを運び出した跡はまだ新しく、明らかについ最近まで使用されていたものだ。
古代の遺跡に不釣り合いなそれに、思わずクロスとロビンが顔を見合わせた時だった。

「ヤハハハハ」

不意に聞こえた笑い声に、2人が振り返る。
そこには、遺跡に座り林檎を弄ぶ一人の男。

「見事なものだろう。空へ打ち上がろうとも、かくも雄大に存在する都市……"シャンドラ"」

私が見つけたのだ、と言うその男は、先代のバカ共は気付きもしなかったと笑う。
不遜なその態度といい、高慢な物言いといい、何者だとクロスはサングラスの下で男を睨む。

「………―――あなたは?」

「神」

にやり、と不遜な笑みを浮かべて言った男に、クロスは無言で煙草に火をつける。
この男が、空島を支配する神・エネル。

「大したものだ……青海の考古学者達といったところか……?我々ですら、この遺跡の発見には数か月を費やしたというのに……遺跡の文字を読めると、こうもあっさり見つかるのか」

シャリ、と林檎を頬張りながら話す神を名乗る男は、黄金はないと続ける。
それを聞いて、そう言えば黄金を求めて遺跡を探していたことを思い出したクロスは、ふぅっと紫煙を吐き出す。

「…………黄金…………そういえば見当たらないわね。運び出したのはあなたね」

確認するように問い掛けたロビンに、エネルは黄金は自分にこそふさわしい、と笑う。
どれだけの黄金がここに眠っていたのかは知らないが、それを全てエネルは自分の物としたのだろう。

「――――じゃあ、ここにあった"黄金の鐘"もそうかしら?」

「………"黄金の鐘"……?」

ロビンの問いに、エネルが問い返したことでロビンとクロスは一瞬眉を寄せる。
シャンドラにあった黄金を、全て自分の物としたのなら当然鐘もそうだろうと思ったのだが、エネルの反応を見ればそうではないらしい。
黄金の鐘の存在を知らないとなれば、ポーネグリフと共にあるはずの鐘は今何処にあるのか。


 
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