CROSS

□grand capital
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しばらく森を歩いて、ようやく視界が開ける。
辺り一面を島雲に覆われ、所々から遺跡の一部がそこかしこに覗くその場所は、探し求めていたシャンドラのはず。
だが、ポフポフと島雲を踏み締めながら遺跡の探索を始めてすぐに、クロスもロビンも首を傾げることになる。
どう見ても、ここがシャンドラの遺跡とは思えないのだ。

「ここはもう都心部のハズなのに……慰霊碑にあった地図と全くかみ合わない……」

「あぁ、おかしいな……空に来た衝撃でバラバラになっちまったのか?」

周囲を見渡し、ロビンと言葉を交わす。
もう少し調べてみよう、と更に遺跡の奥へと足を踏み入れてみるが、状況は似たり寄ったりで大差ない。
島雲から覗く遺跡を見て、その広さを足で確かめて、時には石碑を読み解いて。
一通り調べ終えて、一休みと情報の整理を兼ねて石段に腰掛けたロビンは、手帳を見ながら悩んでいる。
クロスはリュックから水筒を取り出し、水分補給をしながら改めて周囲を見回す。
散々調べ上げてみて、やっぱり広さも地形も全くの別物だ。

「ここじゃねぇ、のか?」

「判らない………でも、ひとつ気になるの」

「あ?」

「不自然なの…………まさか」

不意に、何かを思い付いたのか立ち上がったロビンは、手帳をしまって歩き出す。
クロスは訳が判らず、取り敢えずその後を追い掛ける。







ロビンが向かったのは、大きな神殿らしき建造物の中。
内部までだいぶ島雲に侵食されているが、ロビンは構わずに歩みを進めると、ある一角で足を止めた。

「ロビン?」

「たぶん、この辺りから下に行けるはずなんだけど……」

「下、ねぇ……………掘ってみるか?」

雲を掘る、なんて今まで想像もしてみなかった発想だが、確か雲は切り出せるはずだ。
クロスはリュックから、大きめのナイフを取り出して試しに島雲に突き立て、切り出すように四角くナイフを走らせる。
力を入れずとも、豆腐でも切るように切れる島雲は、予想通りブロック状に切り出せる。

「私もやるわ」

「んじゃ、ナイフはロビンが使えよ。俺は手でやる」

ナイフをロビンに手渡し、クロスは空いた左手に意識を集中させると、瞬く間に鋭い爪の獣の腕へと変わる。
その鋭い爪で雲を裂き、適当な大きさの塊にして、壁際へ放り投げる。



 
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