CROSS

□staying in SKYPIEA
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結局、ナミはもうしばらくウェイバーで遊ぶと言うので、他は先にパガヤの家に向かうことになった。
ビーチの奥の木立を抜け、長い階段の途中でルフィが海を振り返る。
楽しそうに、スイスイとウェイバーを乗りこなしているナミが余程羨ましいのか、また八つ当たり的なことを言う始末だ。

「沈め゛」

「ガキか!!」

ルフィは沈めと言いたかったのだろうが、耳聡いクソコックに思いきり殴られたせいで、舌を噛んだらしい。
いぺーっ、と騒いでるルフィたちを置いて俺たちは、案内をするパガヤと話をしながら先を歩く。
物珍しい光景に、前を歩いているクロスがあちらこちらへと視線を向けながら、それでも興味本意で勝手な行動はしない。
ふと、クロスはロビンと同じくらいの歳だろうか、と思う。
俺たちよりもずっと大人の印象だが、それは一緒に居たルフィがガキだからそう見えていたのかと思ったが、実際に俺たちよりも年上なんだろう。
7、8年前はロビンと同じ組織に居たとか、確か言っていた気がする。
まぁ、長い前髪とサングラスで顔が隠れているから、正確な年齢など予想も出来ないが。
あぁそう言えば、クロスのあの右腕はどうしたのだろうか、とぼんやり考える。
クロスの右腕は、肘の辺りから先が失われている。
何かに引き千切られた、もしくは噛み切られたかのような傷跡だけを見ても、その何かなど判りはしない。
だが、片腕を失くした者とは思えない程の強さで、あのゲリラと素手で渡り合っていた。
クロスは一体何者なんだと、今更になって疑問が沸き上がる。
ルフィの兄のようなもんだ、と本人もルフィも言っていた。
だがそれは、クロス自身が何者であるかの答えではないと、俺は思った。

「あ?何だよ、ロロノア。何睨んでんだ?」

不意に振り返って、煙草に火をつけるためのジッポライターを手に、クロスが不思議そうに俺を見ている。
サングラスのせいで、表情が見えないから、何を考えているのかも読めない。

「……おい、聞いてんのか?」

「あ、あぁ……悪いな、睨んでたわけじゃねぇよ」

「あ、そ」

どうでも良い、とばかりに素っ気なく答えて煙草に火をつけると、ウソップ達が騒いでいる雲切り場とかいう場所へ視線を向ける。
加工する前の雲を切り出す場所だと聞いて、クロスが何処か呆れたように呟いた。

「…………切れるもんなのか、雲って」

常識的に考えて、雲を切るなど出来るはずがない。
いや、そもそも雲の上に乗ることだって不可能なんだと、改めてこの奇異な空島について認識する。

「あなた方は白海から白々海へミルキーロードを通ってきたのでは!?」

「ミルキー……?もしかしてエビに引きずられて来た、あのきし麺みてェな海路の事か」

先に立って歩くパガヤに続きながら、海雲と島雲についての説明を聞く。
元から空に自然に存在する雲は船で進んできた海雲と、海雲に浮かぶフカフカとした歩ける島雲の2種類だけで、あのきし麺みたいな海路は人工的な雲の運河らしい。

「雲を作り出す凝結核が他とは異なるのです。青海では海楼石という鉱物が存在するらしいのですが」

「海楼石!?それが関係してんのか?」

「はい。それに含まれる成分…私達はパイロブロインと呼んでいますが…」

そんな前置きをして、説明を続けるパガヤの説明は少し専門的な話で、聞いている方も理解するだけの知識が要る。
当然だが、ルフィとウソップは全く理解出来なかったらしく、意味不明なことを抜かしている始末だ。
パガヤの説明によれば、俺たちが白々海に来るために通ったきし麺のようなミルキーロードだとか、ビーチにあったイスだとかは全部人が作り出した雲らしい。





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