CROSS

□grand capital
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ザクザクと、2人がかりで黙々と雲を掘り進めて小一時間、ロビンのナイフが島雲を突き抜けた。

「……下へ行ける……!!」

今度は、大きく穴を開けるようにゆっくりとナイフを滑らせたロビンが、穴からその下へと飛び降りる。
その後に、ロビンのリュックと帽子を持ってクロスも続き、雲の下の神殿に息を呑む。
荘厳な造りの神殿は、その殆んどを島雲や樹の根に侵食されているが、まだかなり奥のある広い神殿だった。

「青海の遺跡なのに、一面が島雲なんておかしいと思った……上にあった遺跡は、ただ島雲に侵食された都市の上部に過ぎないのね……」

「そういうことか……まだ下へ行けそうだな」

辺りを見回し、改めて探索の続きを始めるべく歩き出す。
時折吹き抜ける風を頼りに、外に続くだろう道を辿る。
道を遮る樹の根を、ロビンがナイフで切り、クロスが引き千切る。
カツンカツン、コツコツとクロスとロビンの足音だけが、静かな神殿の中に響く。
ふと、道を遮る樹の根を引き千切った先の通路の奥に、光を見つける。
知らず知らずのうちに、クロスとロビンの歩調が早くなる。
半ば走るように、通路の先にある光を目指す。

「あっ!!」

光に飛び込んだ先、足を踏み外しかけたロビンの腕を掴んで支えてやりながら、クロスは目の前の光景に息を呑んだ。
ゆっくりと、ロビンが腰を下ろす。
その傍らに佇んで、クロスはサングラスを外す。
目の前に広がる光景に、言い表し様のない感情が沸き上がってくる。

「…………800年前、突如滅びたシャンドラの都…………そんな風には思えない、今もまだこんなにも堂々と………こんなにも雄大………」

ロビンの声を遠く聞きながら、クロスはきつく左手を握り締める。

「………これが………黄金都市『シャンドラ』!!」

クロスはずっと探していた。
いつか自身の魂が還る場所、先祖が命を賭けて護り抜いた古代都市を。
もう、半ば諦めかけていた。
どれだけ探しても手掛かりひとつ見つからない、誰も知らないこの雄大で荘厳な古代都市を探し求めるだけ無駄なのでは、そう思い始めていた矢先だった。
長く探し続けて疲れきっていた矢先に、今まで得られなかった手掛かりを手にして、ついに見つけた古代都市。



 
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