CROSS-2

□Light snow of recollection
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そんな騒ぎの中、船の中を見て回ってきたナミがやっぱり誰も乗ってない、と扉を閉めて甲板に声をかける。
それを聞いたクルーは、じゃああの声は誰のものだったのか、と首を傾げる。
麦わらの一味は、全員、確かに誰かの呼ぶ声を聞いていた。
ルフィは、あれはメリーの声だったんだなんて言ってるが、クルーは半信半疑だ。
チラリ、とそげキングを見遣ったクロスは、何も言わないその後ろ姿に口を閉ざす。
おそらく、ウソップは真実を全て知っているだろう、とクロスは考えていた。
メリーに一番の思い入れがあるのは、ウソップだから。
そのウソップが何も知らないフリをするなら、クロスは敢えて自分がメリーの声を聞けることを告げる必要はない、そう考えてのことだった。
そんな中、不意に正面からこちらに向かってくる大きな船にルフィ達が気付き、帆に掲げられたガレーラの名にアイスバーグ達だと判った。
大勢の船大工を乗せたガレーラの船が、メリー号の傍らにゆっくりと寄せられる。

「とんでもねェ奴らだ…世界政府相手に…本当に、何もかも奪い返してきやがった……!!」

アイスバーグの呟きに、クロスは苦笑いを浮かべる。
だが、喜びもそこまでだった。
本当に突然、メリー号の船首が崩れ傾いたのだ。
船大工達も、急にどうしたんだと慌てる声が聞こえる中、クロスは無言で船首の羊頭を撫でてやる。
ご苦労さん、そう小さく呟いてやる。


 
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