★ひとつ星★

□いち
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おまけ


ステージ袖で出番を待つ間、ふと疑問がわいてきた。

…ソンジェヒョンが仕掛けてきたのって、僕が余計なことを聞いたせいだよね。
でもあの時点で 僕はドアの前に追い詰められてたわけで、あれは絶対にソンジェヒョンの計算だよなぁ…

ひとつ、納得がいかないというか…う〜ん…
ジッとソンジェヒョンを見ながら考えていたら 僕の視線に気付いたヒョンが近づいてきた。

「なに?今そんなに誘われても困るんだけど」
ヒョン、声が笑ってますけど!?
ちょっとムッとして答える。
「誘ってません!!」

「なんだ、違うのか。それは残念だな」
また離れようとするヒョンの服の裾をとっさに掴んでいた。
「なに?」
「ちよっと確認したいんだけど…」
思いっきって尋ねてみた。
「さっきさ、最初からそのつもりだった?」
「そのつもりって?」
「だから、その…途中までして…っていうか…あの…」
いざ 聞こうとすると、言葉が続かない。
だって「俺をいじくって弄んで勃たせたところでイかせてくれないつもり」だなんて とても言えない。
「ド、ドアだよ。最初から開かないようにあそこに僕をたたせたでしょ!?」

「あ、やっぱり分かっちゃった?」
あっけらかんとヒョンは答えてきた。
「なんのつもりだったのさ」
「忘れた?最初にアピールしたじゃん」
…あ、キスだ。
あの時、ヒョンから誘ってきてキスしたんだった。
その後、僕が余計なことを言ったんだった。
「…キス?」
確認するように言うと、ヒョンは頷いた。
「最近、あんまりしてないなぁと思ってね。いっぱい沢山するつもりだったのにさ」

しまったぁぁぁぁぁぁっ!
今更ながら 僕のバカ!!
そんな積極的に「いっぱい沢山」キスなんてめったにないことだったのに。
「あ、じゃあ今夜…」
逃したチャンスを再びもらおうとするセリフはヒョンに遮られた。
「あ、今夜はユナクヒョンと同じ部屋に泊まるから」
「へ!?」
冗談じゃない、ユナクヒョンと同室はソンモだろ〜っ。
「今またバカなことを聞いてきたから、今夜はナシ!!」
え、ちょ、待って。
あせる僕を後目にヒラヒラと手を振りながらソンジェヒョンは去っていく。
「そういえば、さっき『誘ってません』とも言われたんだっけ〜」

いや、あれは言葉のはずみってやつだからっ!
いや、ほんっと、ごめんなさい!
これは自業自得なのか!?
うなだれる僕の肩にソンモがポンと手をおいてきた。
「今夜、ゴニルと同室だってさ」
言いながら肩においた手には力がこめられていて、ソンモの怒り具合が分かりやすいくらい伝わってくる。
「泊まりは久しぶりだったのに」
僕を睨みつけるソンモの目に背筋が冷たくなる。
僕だって泊まりは久しぶりだったんだよぉぉっ。
そう思っても完全にとばっちりなソンモの怒りオーラは凄まじい。
よ、夜がこわい…


僕ってなんで余計なことを言っちゃうんだろう…

ソンジェヒョ〜ン
せつないよぉ〜っ


打ち拉がれてステージに出た僕にミルキー達の声援はとても優しかった。
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